暁 〜小説投稿サイト〜
Brother Commanders
White Blood
01
WB 01

―どうか道を間違えませんように……

01

「―だったらこう考えるのはどうだ。才能がないというのなら、私はお前の血を買った、とね。」

ガブリエーレ元帥はセヴランを部屋に呼んで、そう説得した。

全然乗り気ではなかった。

それはなぜかって?
それがたぶん、並べられたキレイ事に聞こえたからだ。
準備していたわけでもなく、たった今出てきたお世辞をキレイに並べただけ。

実際にそうだったのだが。

13歳だった彼はこの言葉をそう印象付けて、そして片付けた。

とても勝手な言い分だった。

『どうして俺に目をつけたんだ、
俺の血が白いからか?』

わからない。

血が白いからって何だ、と彼は嘆く。
個性は血が白いこと以外に見つけてもらえなかったのか。

16歳になった今でも、彼はこの言葉の本意を見抜けていない。

こんな俺に何が出来る、と彼は自分に問う。


―そう、君にしかできないこと。

それはすぐには見つけることができない。
悩んで、苦しんで、もがいて、そしてやっと見つける。

元帥にあの言葉を投げかけられてから数年が経った今日

624年9月27日を迎えた。

何の味気もない日常に終止符が打たれる。

セヴランは『彼にしかできないこと』をしなければいけなくなる。

仮にこの運命がどう動こうとも。


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