暁 〜小説投稿サイト〜
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神風と流星
Chapter1:始まりの風
Data.12 騎士の遺言
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巨大な野太刀が正面から襲い掛かる。

 圧倒的な速さの上下の連撃。そこから一拍溜めての突き。《カタナ》スキル三連撃技《緋扇》。

 騎士ディアベルの身体を包んだ三連続のダメージエフェクトは、その強烈な色彩と衝撃音で全撃クリティカルヒットだったことを伝える。ディアベルの体は凄まじい勢いで吹き飛ばされ、パーティメンバーの頭上を越えて、最後方で護衛兵の相手をしていた俺たち――――正確に言うとキリトの足元に突き刺さるような形で落下した。そのHPは既にレッドゾーンに突入し、左端に向けて急速に減少している。

 キリトは目の前にいた護衛兵の槍斧を力任せに叩き折り、ディアベルへと駆け寄る。俺も後を追うように足を踏み出しかけたが、護衛兵が間に割って入ったため諦める。

 すかさずシズクとスイッチして二人掛かりで攻撃するが、瞬殺とまではいかず、ようやく倒し終えた俺の目の前にいたのは、死にかけのディアベルとしゃがみこむキリトだった。

 そこで俺はディアベルに既視感を覚えた。約四か月ほど前のβテスト期間中、姿形も名前すら違うこいつに、俺は会ったことがあるような――――

 俺の視線に気づいたのか、その青い双眸にキリトと俺の両方を写し、純粋な光――――覚悟を宿した瞳でディアベルは俺たち言った。

「……後は頼む、キリトさん、ルリさん。ボスを、倒」

 その言葉を、最後まで言い終えることなく。

 アインクラッド最初のボス攻略指揮官、騎士ディアベルは。

 光の欠片となり、虚空に溶けて消えた。
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