第十二話 気さくなタイ人その七
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「打たれますね」
「そうして負けてきた」
阪神タイガースはというのだ。
「だからだ」
「打たれる危険は充分以上にありますね」
「本当にだ」
実に、というのだ。留美さんの言葉が続く。
「風が急に変わったりしてな」
「ましてやですね」
「うむ」
先輩も留美さんもだ、ここで。
円香さんの方に顔を向けてそのうえで、強張った顔で言った。
「円香さんが仰る黒いオーラ」
「マウンドを覆うそれの話を聞くとな」
「最早ですね」
「未来は見えている」
「それでもね」
二人は悲観的になっていた、しかし詩織さんはだった。
その黒いオーラが覆っているというマウンドをじっと見てだ、そうしてだった。
そのうえでだ、こう言った。
「守ってくれることをね」
「期待しますね」
「それは事実だな」
「ここを守りきったら」
千歳さんも切実だった。
「また違いますから」
「八回を抑えて」
僕は今度は千歳さんに応えて言った。
「後はね」
「九回も抑えれば」
「勝ちだよ」
「そうなって欲しいですね」
「絶対にね」
僕は阪神ファンとして千歳さんに答えた。
「そうなって欲しいよ」
「守れ!抑えなさいよ!」
美沙さんはメガホンでグラウンドに叫んでいた。
「ここを守ったら勝つからね」
「抑えんかい!」
「負けたら承知せんで!」
周りは完全にヒートアップしていた、こうした時に燃え上がるのが阪神ファンだ、特に甲子園球場ではだ。
だから皆熱中していた、そして。
ここでだ、一塁ベンチから監督が出て来てだった。
ピッチャー交代となった、それを見てだった。
美沙さんはグラウンドとスコアボード、それにオーダーを観ながらだった。そのうえで皆にこう言って来た。
「ここで抑えられる人じゃないと」
「この試合はね」
「負けるわよ」
僕達に応える形での言葉だった。
「はっきり言って」
「そうだよね」
「阪神はね」
こうも言った美沙さんだった。
「ピッチャー交代が大事なのよ」
「それがだね」
「ええ、他のチーム以上にね」
「強力な中継ぎ抑えも」
「何処で誰を投入するかよ」
「若しここで失敗したら」
その時はだった、まさに。
「また打たれて」
「それもホームランをね」
「負けるね」
「それが阪神のパターンだからね」
まさにだ、美沙さんもこのことはわかっていた。とにかく阪神rタイガースはそうして負けてきているチームだからだ。
「危ういわよ」
「次のピッチャーがどうかだね」
「それ次第よ」
美沙さんは喉をごくり、、と縄して緊張の面持ちで言った、そして。
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