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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十三話/SIDE-F 風が吹く理由
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/Victor

 我々がカラハ・シャールに戻るなり、クレインとローエンは慌ただしく動き出した。
 バーミア峡谷に、シャール領軍を割いて迎えを出し、カラハ・シャールの病院へ被害者を入院させる手続きをした。それに加えて、行く宛てのないラーラ・トラヴィスの領民が一時滞在するための住居探し。

 その間、私たちはカラハ・シャールの宿に滞在していた。これはガンダラ要塞を抜けるルートを通ると言った時に、クレインが助力を申し出たからだ。今は結果待ち、というわけだ。
 それまで屋敷に滞在していいとも言われたが、忙しい所に上がり込むほど厚顔ではない。

 それ以上に、今回の一件で(私にとっては幸運なことに)フェイリオが精霊の主マクスウェルという噂がどこからともなく流れ、会おうとする人間が屋敷に列を成していた。
 彼らには悪いが、フェイリオ=マクスウェルだという認識が、旅人の多いこの地で知れ渡ったのは、結果としては上々だ。

 そんな日々を過ごす中で、ドロッセルからの使者がやって来た。
 ドロッセル曰く――


 “一緒に買い物に行きませんか?”



 かくて我々はシャール邸の玄関前に集合し、シャール兄妹とローエンと久々に顔を合わせたわけである。

「まさかドロッセルが覚えてくれているとは思わなかったよ。すまないな、時間を取らせて」
「いいえ。きっと皆さんとのお買い物なら、楽しい時間になるに違いないですから」
「なぜ俺まで……」
「巫子どの巫子どの、そろそろ降参しろって。付いて来た時点ですでに認めたよーなもんだぜ」

 全員が和やかなムードにいる中で、一人、フェイリオがローエンの服を遠慮がちに引いた。

「ローエン。バーミア峡谷から帰った人たちが入院してる病院、分かる?」
「露店広場の南西ですが。もしやお見舞いですかな」

 フェイリオは袖で口元を隠して肯いた。

「僕も行こうと思っていたんだ。ちょうどいい。ローエン、案内してくれ。ドロッセル、すまないけれど」
「分かってます。わたしのことは気になさらないで」
「馬車を用意して参りましょう」
「じゃー俺も行くわ」

 手を挙げたのはアルヴィン。

「アル、気を遣わなくていいよ?」
「そうですよ。無理に付き合っていただかなくても。妹と一緒に行かれてよろしいんですよ?」
「そー言われてもねー」

 アルヴィンはクレイン、ローエン、フェイリオを順に指さしながら。

「あんな騒ぎの後で領主サマにまた何かあったら目も当てらんねーし。執事サンは優秀な術士とはいえじーさんだしー。雪ん子は規格外でも若い女の子だし?」

 そこまで説明してアルヴィンは肩を竦めた。

「一人くらい荒事に向いてる男がいたほうがいいんでない? って話」
「……そう
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