暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十一話 鶴声(前)
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
/Victor

 シャールの屋敷を出て、風車がある石通りへ出た所で、悠々と涼んでいたアルヴィンを発見。

「よっ」
「傭兵! 貴様、抜け抜けと」

 アルヴィンに食ってかかったイバルを、括った灰毛を掴んで止める。後ろで悶えて、フェイリオがオロオロしているが無視だ。

「何故私たちをクレインに売った?」
「売ったなんて人聞きの悪い。シャール卿が現政権に不満を持ってるってのは有名だからな。情報を得るには、うってつけだ。交換でこっちの情報を出しただけ。いい情報聞けたろ?」

 クレインが軍に通報しようが見逃そうが、私とフェイリオの力なら脱走は簡単だ。それを踏まえて、彼は試した。

 我々を売ったアルヴィンを、我々が見離すか、あるいはそれでも信じて迎えに来るか。

 図体のでかいガキめ。わざと迷子になって親が探しに来るかを試す幼児と変わらない。意外と頭の悪い「猶予」の使い方だったぞ。

「幼稚な試し方だ。2度目を許すほど自分が幼くないという事実は認識しておけよ」
「ハイハイ。それと、ほれ、これ。返すわ」

 アルヴィンが投げた物は、会ったばかりの頃に預けた黄金の懐中時計。キャッチして中身を検める。いじった形跡はないな。ポケットに入れてチェーンをベルトに着け直した。





/Fay

 よかった。アル、敵になったんじゃなかったのね。もしホントにそうだったら、フェイ、キモチが爆発して()()()()()()()()()わかんなかったから、ホントによかった。

『お前ら、手配書にあった指名手配犯か!』

 ひゃ! び、びっくりしたぁ。兵隊さんが3人、フェイたちのとこに走って来たとこだった。

「やれやれ。往来で堂々としすぎたかね」

 アルってば、そんなユーチョーなこと言ってる場合じゃないよ!
 どうしよう。倒しちゃっていいの? それとも大人しく捕まる? ねえ、パパ……

「――南西の風2。いい風ですね」

 え? あ、ローエン! どうしてここに。

(この場は、私が)

 小さく言ってから、ローエンは兵隊さんに背中を向けて、ふり向きながら何かを空中に投げた。

「おや? 後ろのお二人、陣形が開きすぎていませんか? その位置は、一呼吸で互いをフォローできる間合いではないですよ。そして貴方。貴方はもう少し前ではありませんか? それでは私はともかく、後ろの皆さんを拘束できません」

 兵隊さんたちが間を詰めて固まった――直後に、上からナイフが落ちて来て刺さって、三角形の拘束陣を編んだ。

「では、これにて失礼します。――皆さん、こちらへ」

 あ、うん。ちょっとポカーンってしちゃってた。ローエンの術、あんまり上
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ