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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第五話 想い、轟々と(後)
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るよ?」
「っ、何、よ」

 下を向く。きっとあの人が、エリーが言ってた「おっきいおじさん」だ。

「おっきいおじさんも、エリー、心配、なんだね……っ、好きでいじわるしてるんじゃ、ない、だ、ね……くああ!」
「……黙ってよ」
「おっきいおじさんも、おねーさんも、ほんとは、エリーとアルの、コト…っ」
「黙れって言ってるでしょう!!」

 バチ、バチ、バチン。拘束式が弾け飛んだ音。ああ。終わった、んだ。

 落っこちる。フェイ、海に、落ちるんだ。浮いてる感じがなくなったのに、自分の体じゃないみたい。

 水面に背中を強く打ってから、海の中。ぷくぷく。泡がいっぱい上へ昇ってくね。フェイは沈んでくのに。

 あ、れ? 何だろう。岩に引っかかってるキラキラ。片手を伸ばして指に掬ってみる。
 これ、パパがエリーの髪結った時にあげた、君影草の簪だ。
 逃げてくるまでの間に落ちちゃったのかな。エリー、すごく喜んでたのに、失くしたって気づいたら、泣いちゃう、かも。

 簪を両の掌に載せて、そっと――キスした。

 あのね、パパ。パパがこれ買ってた時、ひょっとしてフェイにくれたりしないかなって、ちょっとだけ、ホントにちょっとだけ期待したの。
 パパがフェイにプレゼントなんてくれるわけないのに。ひょっとしたら、ひょっとしたらって。

 やっぱりそんな事なくて、パパはこれをエリーにあげた。じゃあ、ちゃんとエリーに返してあげなくちゃ。

 ここが水中でよかった。周りみーんなお水だから、泣いてたって分かんないもんね。





 /Victor

 拘束が解けてフェイリオが海へ落ちるや、双銃を抜いた。激昂したプレザは隙だらけだ。今ならやれる!

「いかんっ、プレザ!」
「アルヴィン、弾幕!!」

 プレザの立つ岩柱に向けて双銃をオートで連射する。
 背後で銃声。アルヴィンにも撃てる限り撃ってジャオを足止めしてもらう。

「今だ! 走れ!」
「フェイは!」
「あれなら一人でどうとでもできる!」

 目を白黒させるエリーゼを抱え上げて走り出す。アルヴィンも続いた。





 /Fay

 ぷはっ。はー、なんとかあそこから遠くには来られたけど。えーと、パパたち、どこかな。

「フェイー!」

 あ、エリー。アルヴィンと……パパも。

 エリーが飛びついてきた。あわわ。だめだよ、わたし、濡れてるんだよ。エリーまで濡れちゃう。

「だいじょうぶでしたか? けがは?」
「なんともないよ。心配してくれてアリガト。あ、そうだ」

 クロークのポケットに入れてたの、返さなくちゃ。

「エリー、ハイこれ。落し物だよ」
「あっ、この簪…っ。フェイ、ありがとです!」

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