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同じ相手を
第三章

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第三章

「何でも凄く当たるらしいわ」
「占いね」
 それを聞いて瞳は心の中であることに気付いた。実は彼女は昔から占いが好きなのだ。彼について興味を持ってきていることに気付いたのである。
「そうなの」
「さて、何か面白そうな子ね」
 夏希はくすりと笑って述べた。
「もっと色々調べてみようかしら」
「ストーカーにはならないようにね」
 ここでそっと娘にこのことを忠告はする。
「いいわね、そこは」
「わかってるわよ。あっ」
 言っているそこで、だった。
 その八誠が来た。彼は無言でカウンターに座る。そうして一杯のコーヒーを飲むのだった。
 次の日も来たしまた次の日もだ。瞳はその彼にそっと声をかけた。
「ねえ」
「はい」
 今日もカウンターに座っている彼は彼女の声に応えて顔をあげてきた。
「何ですか」
「占いできるって本当かしら」
「ええ、まあ」
 そうだと答える彼であった。
「一応研究会に入っています」
「そうなの。だったら一つ聞きたいことがあるけれど」
「俺にですか」
「占って欲しいけれど」
 こう彼女に言うのだった。
「私のことをね」
「マスターのことをですか」
「マスターはいいのよ」
 その呼び方は照れ臭い。実際に笑ってそれは止めるようにして言った。
「それはね」
「じゃあ店長で」
「それで御願い。それでね」
「店長のことをですね」
「占ってくれないかしら」
 また彼に言うのだった。
「私のことをね」
「わかりました。それじゃあ」
 八誠は静かに頷いてからあるものを取り出した。それは。
「コインなの」
「何でもできますけれど」
 占いの仕方は、ということであった。
「トランプでもタロットでも」
「それでも今はコインを使うの」
「これが一番よくわかりますから」
 だからだというのである。
「大抵はこれを使います」
「成程、そうなの」
「それじゃあ」
 彼はそのコインをすぐに自分の前に立てて置いてそれを回転させた。その動きをまじまじと見る。
 そうしてコインが倒れて動かなくなるまでを見る。そこまで見てだった。
「そうか」
「何がわかったの?」
「片思いに終わります」
 動かなくなったコインを見ながら瞳に言ってきた。
「店長は恋をされますが」
「あら、そうなのね」
 そう言われてまずはおかしそうに笑った瞳だった。
「私が」
「占いはそう言っています」
 そうだと言う八誠だった。
「当たると」
「当たればいいわね。片思いね」
 それがおかしくて仕方なかったのである。

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