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黒猫が撃つ!
プロローグ 気がつけば……
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と、ぎろ!と睨み目になり再び跳び箱の中に引っ込んでしまった。

「どうしたんだ?」

「さあ……」

「______お、恩になんか着ないわよ。あんなオモチャぐらい、あたし一人でも何とかできた。
これは本当よ。本当の本当」

……何だか、怒ってるな。
それに跳び箱に隠れながらゴソゴソ何かを直す仕草をしている。

「そ、それに、今のでさっきの件をうやむやにしようたって、そうはいかないから!
あれは強制猥褻!れっきとした犯罪よ!」

「おい、キンジ。
お前何をしたんだ」

「な、何もしてない。
アリア。それは悲しい誤解だ」

キンジはそう言い______シュルッ______アリアと呼んだ少女に向けてズボンを締めるベルトを外して、投げてやった。

「な、何もしてない……ですって??」

アリアは跳び箱の中から、キンジのベルトで留めたスカートを抑えつつヒラリと出てきた。
ふわ。見るからに身軽そうな体が、俺達の正面に立った。

え?
立った、のか?それで?
ちっこい。
アリアのそのちっこい姿を見た______その時。

ドクン______。

突然、胸が締め付けられるような痛みがしてきて______

「うぐわあぁぁぁ」

「______トレイン??」

「ちょっとどうしたのよ!」

キンジとアリアの声が聞こえる中______
俺は激しい胸の痛みによりその場に崩れ落ちた。









……ん。
……誰だ?
……誰かが呼んでいる。

「……ン君??」

……誰だ?

「……イン君??」

……スヴェン達、か?

「トレイン君??」

「ッ??」

目を開けた俺はその場で動けずに固まってしまった。
何故なら女性が、キョーコと同じくらいの年頃の少女が俺が寝ているベッドの端に立っていたからだ。
それだけなら固まりはしないがその相手が彼女なら別だ。
何故なら目の前にいる彼女は、もうどこにもいるはずのない人だからだ。
彼女はトレードマークの浴衣と呼ばれる民族衣装を着ていた。

「よかった、目醒めたんだね。
君が無事でよかったよ」

「……なっ、嘘、だろ??」

信じられねえ。
これは夢か?
そうだ、きっと夢だ!
じゃなきゃありえねえー。
突然、胸の痛みで倒れていざ目を覚ましたら目の前に彼女(アイツ)がいるなんてことは……。

「うん、言いたい事はわかるけど……君が無事で本当によかったよ。
トレイン君」

「サ、サヤなのか……」

夢じゃ……ない?

「うん。
正真正銘のミナツキ・サヤだよ。
今はこの国、日本で水無月沙耶として生きてまっス」

「サヤ……」

彼女が生きている。

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