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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
宵の口
07話 隻腕の錬鉄者
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前提にされ、馬の加速力で切る武器であるため、間合いの広さや刀身の反りなど高機動状態での斬撃に特化した特性を持っている……その特性は、機動格闘を突き詰めた武御雷とこの上なく合致していた。

 そう、74式長刀が打ち刀をベースとした汎用性重視であり、槍が主流となり刀の出番が密集戦闘に限定されていた刀である以上、その用途は歩行戦闘下を前提に置かれた物であり、第一世代戦術機用の装備の域を出ていないのだ。

 第三世代が、その機体特性を完全に発揮させる武器が別の形となるのは必然。
 さらに、延長された柄により斬撃の威力は“てこの原理”により更に強化されつつ扱いやすくもなる―――その戦闘力、先ほどまでの要塞級の骸を積み重ねたことで証明された。


『藤原大尉、貴官はどうだ?』
『いうまでもありませんわ閣下――閣下の義弟君(おとうとぎみ)強襲前衛(ストライクバンガード)のツボを心得ていらっしゃる。私も部下たちももう少し、愉しみとうございます……!』


 大隊の第二中隊を駆る山吹色の武御雷を駆る女性衛士、藤原が好戦的な笑みを浮かべながら戦意を滾らせている。

 そんな彼女のF型武御雷は右腕に試製追撃刀を保持し左腕には従来通り84式突撃砲を保持している。

 ……本来、刀という武器は片腕で扱うものではない――刀を片腕で扱えば、その威力・剣速は半分以下にまで低下し、実用には到底耐えられないものとなる。
 何故ならば、日本刀とは手首のひねりによって、てこの原理を作用させ、刀身の対象への衝突の運動エネルギーの反作用を抑え込みその威力を倍加させることでトップヘビーで在らずとも重い一撃を繰り出ししつつもより速い刃の引き戻しを実現させた武器だからだ。

 けれども、戦場で最も多発する状況――それは近接戦での射撃と格闘兵装の同時使用だ。
 欧州機や武御雷、それにソ連機は格闘兵装の機体への固定化でそれを成したが、そこには絶対的な欠点がある。

 それは、近接戦に切り替えたときの絶対的なリーチ・威力の短さ、そして手首の返しという斬撃パターンが固定されてるが故に限定されることだ。
 しかし、短刀では威力・リーチともに足らない―――故に、片腕での威力と取り回しのバランス……その限界を見極めたのがこの試製追撃刀だ。

 そして、それらを運用するために新たに建造されたブレードマウントは従来と違い、兵装担架基部フレームと兵装固定アームが直列に並んだ構造ではなく、二種の専用固定部が兵装担架の基部フレームを左右に挟む形で異なる二種の兵装を同時装備が可能となっている。
 迫撃刀と追撃刀を一対として一つの兵装担架で装備できるようにすることで継戦能力と汎用性を向上させたのだ。


『やれやれ女史は過激だな……戦場の悦を求めていては嫁の貰い手が無くなるか
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