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とある星の力を使いし者
第148話
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マンションに戻った方が良いか、と考えた時だった。
近くの路地から複数の足音が聞こえた。
そしてその人物達が姿を現す。
猟犬部隊(ハウンドドッグ)』だ。
数は6人で手にはサブマシンガンと三インチ程度の小型液晶モニタがついた何かを持っていた。
彼らは何もいう事なく引き金を引く。
何百という銃弾が麻生を襲い掛かるが、たかが銃弾如き麻生には何の意味もない。
弾丸を受けても傷一つどころか痕すらつかない。
それを見て黒ずくめ達は目を見開く。
弾が切れても彼らは引き金を引き続けた。
それらを見た麻生は小さくため息を吐く。

「気は済んだか?」

その言葉を同時に麻生の身体が消えた。
中央に立っていた黒ずくめの両耳には殴るような音と叫び声が聞こえた後、数人が倒れる音がした。
周りを見ると隣に立っていた仲間が全員倒れていた。

「おい。」

声は前から聞こえた。
その方に向くと、麻生は目の前に立っていた。
自分に何かしてくる訳ではない。
麻生はただ前に立っているだけだ。
それなのに震えが止まらなかった。

「木原に伝えろ。
 俺はお前達に手を出すつもりはない。
 信じる信じないは勝手だが、部下を送った所で人員の無駄だ、とな。」

そう言って麻生は背を向ける。
元から黒ずくめ達に何かするつもりはなかった。
伝言役として木原に伝わり、手を出してこなければそれで良かった。
他の黒ずくめを倒したのは複数いればぎゃあぎゃあ喚くと面倒だからだ。
とりあえず、木原には伝わるだろうと思った時だった。
後ろから尋常ならざる気配を感じた。
麻生は後ろを振り返る。
一瞬黒ずくめ達が何かしたのか、と考えたが違った。
黒ずくめ達も後ろを振り返っていた。
二人が視線を集めるのは裏路地へと通じるビルの鋭角だった。
この世の悪意が集まったような、そんな錯覚を感じる。
その鋭角から黒い霧が噴き出すとそれらは固形へと変質し、地を這う四肢を形作る。
青い髄液を滴らせながら、それは現れた。
この世のモノとは思えない不浄の獣。

「う、あ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

黒ずくめがその獣を目にした瞬間、叫び声をあげる。
狂気的な存在を目にして、その理性が理解するのを拒んだのだろう。
脳は理解せず、狂うという逃避を行ったのだ。
黒ずくめの叫び声が鬱陶しいと感じたのか。
鋭く尖った舌を素早く伸ばし、黒ずくめの喉笛を貫いた。
あっさりと貫通して、血液が麻生の頬に飛び散る。
その光景を見ても麻生は表情を変えない。
臭いを辿る習性と実体化した原形質の肉塊が犬のようにも見える事からこう呼ばれていた。
ティンダロスの猟犬と。
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