暁 〜小説投稿サイト〜
クルスニク・オーケストラ
第六楽章 呪いまみれの殻
6-4小節
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
って聞いたな。俺が答えてやるよ。正解はな――ここにいる。俺たちが、《シゼル》だ》」

 《彼ら》は、わたくし。
 それが答えよ、エルちゃん。

「ご納得頂けまして?」
「わっ、ジゼルだ」

 ポーズを女らしいものに戻して、エルちゃんに笑いかけてみた。驚いて引かれちゃったけれど。

「なんか……ややこしいんだな」

 立ち上がる。ルドガーと距離を詰めると、ルドガーは一歩下がった。失礼ですわね。

「《クルスニクの鍵》である貴方は、挑んでは敗れ続けた《彼ら》にとっては最後の希望。《審判》を終わらせるかもしれない、文字通りの『鍵』。こんな指導係に怯えて辞めるなんて、できればしないでほしいのですけれど」
「や、辞めるなんて誰も言ってない!」

 そうね。エージェントであることは、貴方にはアイデンティティですものね。
 そして貴方が辞めない限り、エルも――本物の《鍵》もワンセット。


 大丈夫。「本当のわたくし」がどれだけ塗り潰されたって、クルスニクにハッピーエンドを、という祈りがある限り、大丈夫なのよ。
 例えいつの日かわたくしが「わたくし」でなくなってしまっても。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ