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Element Magic Trinity
その雨が恵みになると信じて
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ズキズキと全身に激痛が走る。力を込めようとしても、すぐに霧散するようだった。
たったの一撃で、とは考えない。竜の血が騒ぐ恐怖と、人間としての脆さ。その2つがおかしなまでに合わさった結果だとしか思わない。
けれど、脳裏に焼き付いたあの金色の光とシャロンの嘲るような笑み、全身を削り取るような一撃に、無意識のうちに体が震える。

「ティア!」

どこか焦ったような声で呼ばれて、どうにか顔を向けた。それだけでも体中が悲鳴を上げるようで、思わず苦痛が顔に出る。
それを見て目を見開いたナツはティアに駆け寄ると、ボロボロになった彼女を抱き上げた。

「おい!大丈夫か!?」
「……ぅ…」
「何つった!?」
「大丈夫に…見える……?」

この状態でも悪態づくティアに少し呆れつつ、ナツはギッとシャロンを睨みつけた。先ほどまでの嘲笑はどこへやら、澄ましたような無表情に戻っている。
それが更にナツの怒りを増長させて、周囲の空気がゆっくりと揺らめき始めた。ナツの怒りが魔力に伝わり、それでも抱えるティアの事を考えて炎に具現する事はなく、目に見えない熱が周囲の大気を熱して陽炎を見せる。

「テメエ……」
「随分な眼力ね。消すのは貴方からにした方がよかったかしら」
「消すつもりだったのか!?出来損ないとかそういう事置いといて、テメエの孫じゃねえのかよ!」
「戸籍上は、ね。そんな綺麗事で全員の目が覚ませると思ったら大間違いよ。そんな完璧じゃない女なんて、カトレーンに必要ない」
「完璧な人間なんている訳ねえだろうが!欠点があるから人間なんだろ!んなのも忘れちまったようなテメエが、ティアの事出来損ないなんて言うんじゃねえ!」

感情に任せて怒鳴ると、シャロンの眉がピクリと動いた。それに何を悟ったのか、ティアがはくりと口を開く。
開いた口から声が出るよりも早く、静かにシャロンの右手が伸ばされる。

「っぐああああ!」

ハッとした目を見開いたと同時に、その手から金色の光が放たれた。
まともに防御も出来ず吹き飛び地面に落ちたナツは痛みに表情を歪めつつ、ゆっくりと上半身を起こす。ふと見るとルーが悔しそうな表情で、どうやら風を操って落下の衝撃を和らげようとしてくれたようだった。顔を見るに、詠唱が間に合わなかったのだろう。
が、ルーはすぐに何かに気づいたように再び口を動かし始め、ルーシィ達もそれに気付いて目を見開き、事態が呑み込めないナツは眉を顰めた。

「ナツ!ちょっ…ダメだ、間に合わない!」
「?お前ら何言って……」

焦ったように叫ぶハッピーを怪訝そうに見つめつつ―――――ようやく、ナツは気づいた。
先ほど吹き飛ばされた時、手放してしまったモノ。気づいて見上げようとして、すぐ近くでドサッと何かが落ちる音を聞いた。
即座に顔
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