暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX−音速の機械戦士−
―邪心経典―
[1/23]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「明日香ぁぁぁっ!」

 先を行く《スピード・ウォリアー》に守られながらも、《樹海の爆弾》の爆心地へと走るものの、既に聖女ジャンヌ――いや、明日香の運命は既に決定している。この世界でのデュエルの敗者に待ち受ける運命から、逃れる術など存在しない。

「明日、香……」

 《樹海の爆弾》の噴煙が風で消えていくが、そこにはもう誰もいない。爆発が強くてどこかに吹き飛ばされた――などという考えが頭をよぎるが、それはただの現実逃避に過ぎないということは分かっていた。もういくら名前を呼んでも探しても、天上院明日香はこの世界には存在しないのだ。

 ……そう、俺がこの手で明日香に引導を渡したのだから。

「あ、あ……」

「おめでとう、遊矢くん! 君の勝利だ!」

 その結論に至り愕然とする俺に対し、場違いな拍手が響き渡る。その主は言うまでもなく、この戦いを観戦していた《闇魔界の覇王》その人である。デュエル中にいつの間にか姿が見えなくなっていたが、どうやら安全地帯まで避難していたようで、拍手をしながら呑気に俺の下へ歩いてくる。

「約束した通り、我々はこの世界から手を引こう! 君の勝利だ」

 約束とは何の話だったか……などと一瞬考えると、そう言えば戦士長と聖女ジャンヌ――明日香を倒せば、闇魔界の軍勢はこの世界からは手を引く、という話しだったか。闇魔界の覇王が響かせる拍手の音を聞きながら、俺は一つの思考に囚われていた。

 ――そんなことはさせるものか、と。

「……《スピード・ウォリアー》!」

 俺の叫び声とともに、未だ消えていなかった《スピード・ウォリアー》が闇魔界の覇王に突撃していき、回し蹴りで攻撃していく。その攻撃は間一髪で避けられてしまうが、耳障りな拍手の音が止んだのは良しとする。……そうだ、この世界から逃すなどさせてはいけない。

「明日香の……仇だ……!」

「それはおかしなことを言うね、私は何の手も出していないというのに」

 《闇魔界の覇王》はそんなことを言ってのけるものの、俺にその言葉は意味を成していなかった。……明日香をこの手で殺したことを誰かのせいにしないと、気が狂ってしまいそうで。明日香が死んだのは俺のせいじゃない、アイツのせいなんだ――と、まるで子供の癇癪のようだ。

「デュエルだ……覇王!」

 デュエルディスクを再展開すると、闇魔界の覇王に攻撃していたスピード・ウォリアーが消えていく。その様子を見た闇魔界の覇王も、自身の腕についている禍々しいデュエルディスクを展開し、デュエルの準備が完了する。

「……悲しみ、苦しみ、怒り、憎しみ、疑心……やはり君こそが邪心経典の完成に相応しい……良いだろう、デュエルだ!」

 俺には分からない何事か呟きながら、俺と覇王は睨み合う。誰もいないスタジ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ