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神風と流星
Chapter1:始まりの風
Data.8 始まりの風
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ながら暴れ、バランスを崩して再び落下する。

 そしてここからは先ほどと同様。シズクが《ソニック・リープ》で腹を切り裂き、その後も攻撃を加え続ける。

 攻撃を加え続けて遂にHPバーが三本目に突入した途端、ドラゴンJは一度大きく尻尾を振り(もちろん余裕で避けた)、飛び上がった。

 再びブレスくるのかと身構えたが、ドラゴンJはブレスの予備動作を起こすこともなく、元来た方角に帰って行った。

 どういうことだこれ?と思ったが、よく考えてみるとクエスト進行の条件は『赤黒の道化龍(ドラゴン・ジョーカー)を撃退せよ!』だったので、恐らくHPバーが三本目に突入したら逃げるように設定されていたのだろう。

 その場で約十分くらい待ってみたが、どうやら本当に帰ってったらしいので、俺とシズクは戦闘態勢を解き、思わずその場でしゃがみこんでしまう。

「勝った……んだよね?あたしたち」

「ああ、勝った……ま、倒してないから経験値とアイテムはもらえないが」

「命があるだけマシだと思おうよ。それに、クエスト報酬でもらえるんだからいいじゃない」

「それもそうか……」

「そうだよ……」

「……」

「……」

「くくっ……ははは!」

「ふうっ……ははは!」

 地面にへたり込んだまま俺たちはどちらからともなく笑い、パチン、とハイタッチを交わした。

「初の協力戦闘。色々文句はあるが、及第点だ」

「まったくだね。予期せぬ敵にぼろぼろのあたしたち。Sランクはあげられないけど、Bランクくらいならいいんじゃないかな」

「これにてミッションコンプリートてとこか」

「まだ報告が済んでないでしょ。最後まで気を抜いちゃダメだよ〜?慢心いくない」

「それもそうだな。じゃあ、ちょっと休憩したら小屋まで戻る方向で」

「ラジャー!」

 こうして俺とシズクによる龍狩りは終わりを告げたのであった。
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