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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
05話 蒼き将
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、篁中尉は壱型丙にも思い入れがあったと聞いているよ―――そんな君に朗報だ。壱型丙のアビオニクスの刷新と共に専用OSが改修されてね、不知火 乙壱型として実戦配備が検討段階に入る予定だよ。」
「―――壱型丙が…!」

 彼女の声に動揺と共に興奮の色が混ざっていた。
 彼女の思い入れなど自分は知る由は無いが、壱型丙は自分と部下たちが四国、そしてこの出雲と地獄を渡り歩き、流血と銃火で鍛え上げた剣だ。

 アレをただの欠陥機として終わらせたのでは、戦ってきた意味が軽くなってしまう。
 其れだけは断じて許せなかった。
 そういう意味では自分にとっても朗報だった。

「それも其処の柾が頑張ってくれた御蔭だよ。彼の操縦ログもさることながらレポートは非常にクリティカルな部位を指摘していてね、尚且つ改善方法を大まかにだが示してくれた。」
「…………」

 最早言葉が無い、という状態なのだろう。
 唖然とした様子で見る唯依の視線がいたたまれない―――背筋が痒くなるほどに居心地が悪い。


「斑鳩中佐、程々にしてください。―――こんな体では、もうそのような芸当はできませんから。」
「すまないね、つい熱くなってしまった……本題に移ろう。柾、我が斑鳩家にこないか?」

「それは、私に養子に成れと……そういう事ですか?」
「そうだよ、日本は今や乱世に突入している。戦後の家格調整による武家の格式の固定は意味を為さない、無理やり意味づけすればそれは我ら武家の終焉を意味するだろう。
 そして、これまで序章と言わんばかりに帝国は未曾有の苦難に塗れるだろう。その中で我ら武家は在り様を変えつつも帝国を守り、臣民に道を示さねばならない……!
 激減した人口、荒野と化した国土、壊滅した経済。最早、一等先進国に返り咲く事叶うまい――その絶望の中、人は英雄と神話を求めているのだよ。」


 劇場的に言葉を紡ぐ斑鳩嵩継―――その口にしている内容はまるで遠い神話の如しだが、紛れもない事実なのだ。
 このままでは、日本は良くて植民地や属国の地位に甘んじる事となる。

 そうなれ、いずれ日本は日本で無くなってしまう。


「その中で、“甲鉄の雷神”を駆る“雷神の鬼姫”を救うべく身を挺した衛士が摂家の援助の元、不死鳥の如く黄泉がえり、勇往邁進する―――実に雅やかだと思わないかい?」

「成程、つまりある程度武家の血を引きながらも市井の出である俺ならば武家に上げても反発は少なく、また大衆受けもいい―――政治の道具(プロパガンダ)にするにはこの上ない適材という事ですか。」
「いやいや、私は単にかつてその腕を競い合った優秀な衛士が惜しくも戦火でその衛士としての命を絶たれ、志半ばでその路を諦めるというのが我慢ならないと手を差し延ばすだけだよ……斑鳩家の私財
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