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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十七話 大乱闘
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の様子を見ながら、アイリは朗らかに笑った。

「では、参りましょう」
「ん、あぁ。うっし!逃走(エスケープ)!!」
そんな風に言いながら七人のメンバーは各々その場から離れて行く。
七人の戦士が去った後の回廊には、先程までの喧騒がまるで嘘のように、重々しく静まり返っていた。

────

それから、二十数分後……

澄んだ空気の流れるホールの中を、リョウとキリトが並んで歩いていた。リョウがどこか楽しげに言った。

「さーて、どうなっただろうな」
「行けたさ。アスナ達なら」
「ほぅ?賭けるか?」
「いいぜ?まあ賭けにならないと思うけど。兄貴だって負ける賭けはしたくないんじゃないか?」
「うははは。ちげーねぇや」
笑いながらリョウとキリトは進む。お互いに彼女とは長い付き合いだ。二人して、本気になった彼女が負けるとは微塵も考えていないのだった。いや、この場合は……

「はいっ!ママは負けないです!」
「だよな」
三人目……ユイが、キリトの頭の上で腕を振り上げて言った。
二人と一人はそのままホールの奥へと歩いて行く。そこは、この城になる前の浮遊城アインクラッドに置いて、多くの涙や、後悔、怒り、悲しみ、憎しみ、安堵が入り乱れた場所。
かつて《生命の碑》と呼ばれた鉄碑のあった其処は、今は役割を変え、《剣士の碑》として、この城の各層に存在するフロアボスモンスターに挑んだ者達の名を刻む場所として、多くのプレイヤーの敬意と思い出、誇りの集う場所となっていた。
ちなみにこの中の幾つかには、既にキリトやリョウの名も刻まれている。

「ん?」
「あぁ、ちょうど良かったな」
キリト達が奥にある黒い鉄碑へと近寄って行くと、丁度その石碑の[Braves of 27th floor]と刻まれた部分のすぐ下に、まるで初めからそう刻まれていたかのように、文字が浮かび上がってくる所だった。
浮かび上がった名は七つ。

Yuuki
Jun
Nori
Talken
Tecchi
Siune
Asuna

「へへ、きっちり結果で返して来やがったか。やるねぇ彼奴等」
「あぁ。流石だよ本当に……」
どこか誇らしげに言うキリトと、楽しげなリョウは、どちらともなく、自然にそれぞれの右と、左の拳を持ち上げ互いに向ける。

「やっぱ、賭けにゃしなくて正解だったな」
「だろ?」
互いにニヤリと、ニヤッと笑って、拳を突き出す。

ゴツンという小さな音が、彼等の勝利宣言で有ることを、彼等だけが知っていた。

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