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ラストダンス
第二章
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第二章

 終わった、そう思った。これで全部終わりだと。彼女も同じだった。俺達は踊り終えた後お互いの顔を見て寂しく笑い合っていた。
 けれどその時だった。周りの皆が俺達に声をかけてきた。
「今日もよかったぜ」
「やっぱり流石だよな」
「あ、ああ」
 俺も彼女もその声に応えた。何か急に言われた感じだった。
「また見せてくれよな」
「えっ」
 この言葉には正直戸惑いを感じた。
「だからだよ。見せてくれよ」
「いいよな」
 皆そう俺達に対して言ってきたのだ。
「やっぱり二人のダンスが一番いいから」
「それだけ息が合ってるってことよね」
「息が」
「合ってるのかしら」
 俺も彼女もそれを聞いて驚きを隠せなかった。今別れようとしているのに。急に言われた感じであった。けれどそれも当然かも知れなかった。俺達が別れる話は俺達しか知らないからだ。それだと当然だった。
「そうだよ。二人はやっぱり一番合ってるよな」
「ああ」
 皆そのうちの一人の言葉に応えていた。何か俺達だけ取り残された感じだった。
「だからな」
「また踊ってくれよ」
 そう俺達に声をかける。何か俺達はその言葉に身動きが取れなくなった感じになっていた。
 踊り場から離れてまた二人になった。そこで俺は彼女に声をかけた。
「なあ」
「何?」
 彼女は俺の言葉に顔を向けてきた。俺は彼女を見ずに正面をぼんやりと眺めながら話をした。
「俺達ってさ、やっぱり合ってるのかな」
「そうみたいね」
 俺の言葉に応えて言ってきた。言葉が耳に入る。
「皆の言葉だと」
「そうだよな。俺達のダンスが最高か」
「そう言ってくれたよね」
「そうか」
「ええ」
 彼女の顔も正面になった。少し俯いていた。俺はそれとは正反対に上を見上げていた。そのまままた言葉を選びながら口に出す。
「あのさ」
「うん」
「また、一緒に踊らないか?」
 俺はこう提案してみた。
「また?」
「ああ。皆が言ったからじゃないぜ」
 一応はそう断った。けれど心に響いたのは事実だ。
「またさ。最高だっていうんなら」
「そうね」
 彼女もそれに頷いてきた。どうやら同じことを考えていたらしい。
「一緒にね」
「またな。だから」
 俺はさらに言った。言葉が今度は自然に出て来た。
「こんなこと俺が言うのも何だけどさ」
 だが俺は切り出した。
「あれだよ、その」
「いいわよ、言っても」
 彼女も言ってきた。穏やかな様子で。
「ていうか言って。次の言葉」
「ああ。それでな」
「ええ」
 彼女は俺の言葉を待つ。俺も言うことにした。
「また。一緒に踊らないか」
 言葉にして出してみた。後は彼女がどう答えるかだ。
「どうだい?」
「そうね」
 彼女はまずこう言ってき
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