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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
アリシゼーション編
第一章?七武侠会議編
狼煙
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「使い魔《フギン》《ムニン》、及び守護領域(テリトリー)、《ゲリ》《フレキ》。起動」

元は重厚な木製の椅子である《フリズスキャルヴ》は原初(オリジン)の姿が解放された事により、黄金に輝いていた。
フリズスキャルヴの本来の機能は簡単に言えば『プレイヤー機能の大幅拡張』だ。フリズスキャルヴ付属の鴉の姿をした使い魔、フギンとムニンがプレイヤーが求めた情報を収集し提示するのが主な機能で、例えば俺が『ユウキはどこにいるか』を調べればその地点の座標をほぼタイムラグ無しで知る事が出来る。
使いようによっては危ない能力だが、そもそもこの椅子が安置されていた場所が生半可な場所では無いため、リスクが高すぎる。さらに言えば、その機能は一度使うとクールタイムが24時間必要でその間、他の機能は一切使えない。
しかし、それは原初の姿を解放すると全て取り払われるーーー600秒間のみ。
何かに取り憑かれたように瞳から光を失ったユキナがユウキに殴りかかり、それを防いだユウキを下へ叩き落す。そして間髪入れず、その後方に居る俺に向かって来た。

「一体、どうしたんだ……」

フルダイブが原因ならば今すぐここでログアウトし、隣でフルダイブしている友紀奈のアミュスフィアを剥がせば良い。しかしもし別の理由ーーー現実世界にも影響がある何かーーーがあったのなら、それは危険だ。すぐ側には木綿季が同じく居る。現実世界に復帰した途端、近くの人に殴りかかるような事があれば一大事だった。

「それに、こっちの方が無茶も効く」

黄金の椅子に座する俺の約2メートル手前でユキナが何かに進路を阻まれる。自分が衝突した威力をそのまま返されたユキナは短く呻き声を上げて跳ね返された。
テリトリーと呼ばれる守護領域は原初の姿の時のみ発動出来る結界のようなものだ。受けた衝撃をそのまま返す性質を持つ結界《ゲリ》。そして、進入したものを拘束する《フレキ》。
ゲリによって崩された体勢をユキナが立て直す前にフレキの有効範囲を拡張し、ユキナを捉える。しかし、

「ぐ……ぅ……!」
「む??」

ガラスが割れるような音と共にフレキが力づくで破られる。システムを越えたその現象に目を見開き、決定的な隙が生まれた。

「……ぅ……あ!」
「うっ??」

ユキナのスモールソードを持ったままだった右腕を掴まれ、捻り上げられる。力が抜けた手からスモールソードがこぼれ落ち、ユキナがそれを手に取った。

「キ、エ……ロ……??」
「…………っ??」

光を失っていた瞳に再び光が……しかし、禍々しいナニカを含んだ光が宿る。それに応えるようにスモールソードから仄かに薄紫色の光が発せられた。
その光は、例えようの無い殺意を孕んでいるように見えた。

「レイ!」

その時、復帰して
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