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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第六話:英雄と殺人鬼
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は誰よりもこの世界を受け入れ、そして楽しんでいた。
この世界を愛し、この世界が終わってしまうことを忌避していた。

ならばこそ、このデスゲームのクリアを切望する攻略組プレイヤーとラフコフは相容れない存在なのだ。

故に、レンとラフコフが対峙するのもまた、運命に違いない。

「ノコノコと出てくるとはな、余程自分の腕に自信があるらしい」

「それは、こっちの、セリフだ。貴様、こそ、ノコノコと歩いて、来るとは」

「さっさと殺っちゃおうぜ、俺、コイツ嫌いだし」

「情報は確かだったみたいだね…なるべくなら会いたくなかったなぁ」

亡命の谷の最奥、谷底で向き合うのは四人のプレイヤー。

レンはお馴染みの十字架剣を握り、ユメは長い柄の先に細身の刃がついた両手槍を構えている。
対し、途切れ途切れの言葉でレンに皮肉を返すのは襤褸切れのようなものを垂れ下げ、顔に髑髏を模した仮面をつけたレッドプレイヤー《ザザ》と、レンに向け嫌悪感を露わにする頭陀袋のような黒いマスクに顔を隠した少年のようなレッドプレイヤー《ジョニー・ブラック》。

どうやら頭領であるPoHは不在のようだったが、レン達にとってそれは好機で、ザザ達にとっては非常事態であった。

ザザとジョニー・ブラックの専門はプレイヤーキルだ。故に彼らの戦闘力は必然的に高い。だが、それでもレンには遠く及ばない。二人でかかっても勝機は見えない程である。
それに加えて、レンの隣には同じ攻略組プレイヤーであるユメの姿もある。
彼らに出来るのは、自分らの頭領が帰ってくるまで時間稼ぎをすることだけだった。

「行くぞラフィン・コフィン。残さず黒鉄宮に叩き込んでやる」

「…やれるものなら、な」


「女!女! ゆっくり殺してやるから、覚悟しとけよ!」

「ああ、やだやだ…怖いお子様だなぁ」

レンの持つエスピアツィオーネとザザの持つ、レイピアよりも突く事に特化した剣『エストック』が赤い光芒を撒き散らしぶつかり合うことにより、戦いの火蓋が切って落とされた。



† †



「シュッ!」

「フン…!」

体を抉るように連続で突き込まれるエストックは、レンの握る片手剣によってその剣戟の悉くを叩き落とされていた。
元より実力に差があった二人だ。この結果は二人とも予想はついていた。
だが、レンの方には想定外の事が一つ。

「ッッ!」

「チッ!」

エストックの切っ先が、頬を薄く切り裂く。カウンターとして放った斬撃が、ザザの胴を薙ぎ払った。
擦り傷と、刀傷。その差は二人の実力差を如実に示しているが、しかしザザのHPゲージはまだ安全圏のままだ。

(…あの時よりも動きが良くなっている。戦闘不能にするまでにはまだ時間がかかるか
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