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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十七話
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使い手を破った二刀流剣士が、自らの技を否定した、奇妙な言葉――――

 それは、実力無きものが力を求めるべきではない、という、忠告。

「リーリュウ!!」

 カズは《ノートゥング》を構え、大剣用ソードスキル《クレッセントバニッシュ》を発動させる。半円弧型を描く剣閃が、エリィに迫る。

「しゃらくさいわ!」

 しかしその一撃は、エリィが体ごと斧を回転させる旋回攻撃を繰り出したことによって弾かれた。その技量に驚嘆せざるを得ない。彼女は、横軌道である《クレッセントバニッシュ》と同じ面を斧の刀身に通らせ、正面からその一撃を弾き返したのだ。反対側にいたリーリュウもまた、この一撃で吹き飛ばされてしまう。

「ぐぅ……」
「ふむ……そろそろ潮時かのう……終わりにするとしようか。
 『十九八七六五四三二一〇(トオクヤナムイヨミフタヨ)
  いと尊き我が兄にこの誓いを捧げよう』」

 制約の祝詞が紡がれ始める。

 エリィの周囲を、暗い深紅の劫火が取り囲み始める。

「『世の始め、人世を作りし名も無き神は
  自らが唯一であることを望んだ。

  世の始め、空を牛耳る赤き天使は
  自らが至高であると信じた。

  その昔、砂漠に追放されし雷帝は
  自らが原初足らんと欲した。

  即ち是虚飾の相也。

  神さえ其の法より逃るること能かなわず――――

  其の名は《傲慢(superbia)》。


  ―――《惟神》―――

 《superbia‐pride》』」



 ゴォォッ!!

 轟音とともに、凄まじい熱風と重圧が空間を支配する。エリィの後ろに、クジャクのそれに似た意匠の炎翼をもった、巨大な鷲獅子(グリフォン)が出現する。

「さぁ跪け雑種。図が高いぞ!!――――叩き潰せ、ルシフェル!!
 『《神・哭・神・装》』!!」

 炎の翼がエリィの十二単にまとわりつく。裾が火炎と一体化し、エリィの純白の髪の毛も血のようなダーククリムゾンへ。黒曜石のような双角が生え、背には巨大な悪魔の翼。

 右手には大斧、左手にはフェニカスと呼ばれた斧。火炎の戦装束に身を包んだ彼女は、戦場に降臨した煉獄の悪魔(エリゴール)

「さぁ、本番の開始じゃ。踊れ!」

 その戦斧が振るわれる。爆炎が空気を蹂躙し、カズ達を焼きこがす。

「がぁぁぁっ!?」

 じゅぅじゅぅと体が焼ける音。凄まじい痛覚。体中が燃え尽きて、灰になってしまうかのような錯覚。

「カズ!」

 リーリュウから回復術が飛ぶ。カズの火傷は完治したが、その身体に残留した痛覚は消えない。

「ぐっ……」
「どうした? もう膝をつくのかえ? 大いにつまらん! もっとあがけ、雑種!
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