第2部 風のアルビオン
第3章 幼馴染みの依頼
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、今の話を聞かれてのは、まずいわね……」
ギーシュはウルキオラの横を通り過ぎ、アンリエッタの前に、膝をついた。
「姫殿下!その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう」
「え?あなたが?」
「まだお前の処遇が決まっていない、寝てろ」
ウルキオラはギーシュの背中を軽く蹴った。
派手にギーシュはぶっ倒れる。
「僕も仲間に入れてくれ!」
倒れたまま、ギーシュは喚いた。
「なぜ?」
「姫殿下のお役に立ちたいのです……」
アンリエッタはギーシュに向けて言葉を放った。
「あなたも、私の力になってくれるというの?」
「任務の一員にくわえてくださるなら、これはもう、望外の幸せにございます」
熱っぽいギーシュの口調に、アンリエッタは微笑んだ。
「ありがとう。では、お願いしますわ。この不幸な姫をおたすけください、ギーシュさん」
「はい!必ずやご期待に添えてみせます!」
ウルキオラはまたも呆れてしまった。
(やはり、この世界の人間は危機察知能力が欠如しているらしい…)
ルイズはウルキオラの気持ちなどつゆ知らず、真剣な声で言った。
「では、明日の朝、アルビオンに向かって出発するといたします」
「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及びます」
「了解しました。以前、姉たちとアンビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」
「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、あなた方の目的を知ったら、ありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょう」
アンリエッタは机に座ると、ルイズの羽ペンと羊皮紙を使って、さらさらと手紙をしたためた。
アンリエッタは、じっと自分の書いた手紙を見ていたが、そのうちに悲しげに首を振った。
「姫様?とうかなさいました?」
怪訝に思ったルイズが声をかける。
「な、なんでもありません」
アンリエッタは顔を赤らめると、決心したかのように頷き、末尾に一行付け加えた。
その末尾の一行をウルキオラとルイズ、ギーシュが知ることはない。
アンリエッタは手紙に向けて杖を振る。
すると、どこからあらわれたものか、巻いた手紙に封蝋がなされ、花押が押された。
その手紙をルイズに手渡す。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」
それからアンリエッタは、右手の薬指から指輪を引き抜くと、ルイズに手渡した。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が必要なら、売り払って旅の資金にあててください」
ルイズは深々と頭
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