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『自分:第1章』
『ギャンブル』

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ユウの帰りが遅くなる日が増えた。
喧嘩も増えた。
醜い自分が露わになるのが自分自身で耐えられんかった。
この頃は此処で食事するようになってた。
帰宅時間は、要領悪い零那にとって重要だった。
ユウの御飯と、娘の風呂や御飯、寝る時間のタイミングが悪いと大変だった。

残業頑張ってるんやと思って我慢してた。
でも、そうじゃ無いことを知った。
兄貴から聞いた。
仕事終わり一緒にスロットしてるって。
金は俺が数万円貸してるからって。
零那はスロットがどんな遊びか知らんかった。
そんな大金使う遊びに誘うなって怒った。

ユウが借りた分は零那が払った。
ユウには充分な小遣い渡してた。
表向き3万円。
給与が低い分、本人は納得してる。
昼は弁当だと皆と食べに行けんからって現金になった。
タバコ、コーヒー、昼、服、道具...必要な分は別で渡してる。
だから、小遣いは完全に自由な金。
不憫な想いはささんように気を付けた。
道具買ったけん小遣い頂戴って言われたら渡してた。
不自由さしてないつもりだった。

それが逆効果だった?
会社に行く時は最低限しか渡したらあかんの?
毎日財布の中身は決まった額だけにするべき?
でも急にシステム変えるのも...

給料日。
チョットわざとに一言。
『残業多かったよね?なんで額変わらんの?』
ユウは答えた。
『残業?そんな無かったよ!』
は?
殆ど帰り遅かったやん。
会社の人と遊んでたって、あっけらかんと言い放った。
何して遊んでるんか聞いた。
スロットってのもアッサリ言った。

零那は、お客さんにスロットのシステムを教えて貰ってた。
大金を使って借金する人も居るらしく、ハマると怖いギャンブルだと...
スロットというものを知らんかった零那には未知の世界だった。

『スロットって大金遣うよね?
お小遣いあるん?』

『借りたけど勝った時に返したけん大丈夫!』

『ホンマに返したん?
いつ?』

零那が兄貴に渡した後だった。
チャント返したならいいわ。

『他の人も俺が勝ちよる時は勝手に持って行くし、お互い様って感じで遊びよるよ!』

問題ないなら良いや。
ユウが嘘を付かんかった事、逆に罪悪感いっぱいになった。


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