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オズのムシノスケ
第四幕その十一

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「本当にね」
「鼻が効くからだね」
「うん、トトもね」
「僕も犬だからね」
 トトは前を進みながら胸を張ってカルロスに答えました。
「匂いのことならね」
「人間よりも遥かにだったね」
「そう、わかるからね」
「だから頼りになるよ」
「それは嬉しいね。けれどね」
「けれど?」
「僕は戦うことは出来ないし」
 小さいからです、だからそれは出来ないのです。
「それにね」
「それに?」
「そう、目はあまりよくないから」
 目は、というのです。
「暗いところでも見えるけれどね」
「トトは目が悪いんだ」
「犬はね」
 トトだけでなく、というのです。
「そうなんだ」
「へえ、犬って目はよくないんだ」
「そうだよ。目がいいのはね」
「猫かな」
「そう、目は猫の方がずっといいんだよ」
 そうだというのです。
「そのことはわかっていてね」
「じゃあダラスの猫も」
 カルロスは彼女のことを思い出しました。あのガラスの身体にピンク色の脳と心臓がある彼女のことをです。
「目はいいんだね」
「かなりね」
「そうなんだね」106
「それぞれの動物で得手不得手があるんだ」
「犬には犬に」
「そして猫には猫のね」
 この辺りは本当にそれぞれだというのです。
「得手不得手があるよ」
「そういうものなんだね」
「人間だってそうじゃない」
「僕達も?」
「それぞれ得手不得手があるよね」
 トトはカルロスに顔を向けて言います。
「君達にも」
「確かに、言われてみれば」
「だからだよ」
「犬にも猫にもそれぞれ」
「得手不得手があるんだよ」
「私にしてもだよ」
 教授も言います。
「確かに知識学識では自信があるがね」
「それでもですか」
「頭の回転ではかかしさん、優しさでは木樵さんには遠く及ばないよ」
「あの人達にはですか」
「そう、私は万能ではないよ」
 到底、というのです。
「知識学識では自信があるがね」
「そういうものなんですね」
「そうだよ、人間には得手不得手があって」
 そして、というのです。
「それぞれの個性を活かして」
「助け合うものですね」
「オズの国でもそうしているよ」
 教授は穏やかな声でカルロス達にお話するのでした、そのうえでボタン=ブライトを目指してそうして進むのでした。
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