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ソードアート・オンラインーツインズー
SAO編−白百合の刃−
SAO19-黒氷の涙 
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正しいことなのか悪いことなのかはわからない。決めるのは、人を裁ける者が決定するだろう。といっても、この世界に人が裁ける者がいない。だから私を裁く人は誰かしかいないだろう。
 でもそれで良い。
 私はドウセツを失わずにすんだのだ。
 これで終わった。
 
「……さよなら、ストロングス」

 私はストロングスが殺した罪は忘れない。だから、ストロングスのことも忘れないわ。
 一つが終わったのでドウセツに近寄ってみると、ドウセツは頭を丸めて身を守るように三角座りをしていた。
 私は歩み寄って肩を叩いて優しくささやいた。

「終わったよ、ドウセツ」
「…………」

 ビクッと震え返事はしなかった。
 わかっている。 
 ドウセツは泣いていて、怯えている。
 ドウセツと言うイメージで作られた彼女ではなく、恐怖に怯えた普通の少女のように泣いていた。それは自分の身を守ることであった。
 いつの日か、自暴自棄になって不安や恐怖に押し潰れそうになった私を優しくささやき、抱きしめたように、

「もう大丈夫……大丈夫だよ、ドウセツ」

 私も身を丸めて怯えるドウセツを包み込むように、抱きしめ優しくささやいた。何度も大丈夫だと言い聞かせ優しく背中を擦った。

「……キ、リ……カ……」
「うん」
「……ごめん……少し経て、ば……だいじょうぶ、だから……だから、平気……」

 身を丸めていたドウセツはプライドもクールも恐怖から守る壁も脱ぎ捨て、力強くすがってきた。

「我慢しなくていいよ。怖かったなら泣いてもいいしさ、ためこむのはよくないから……流そうよ、全部。自分の感情をさらけ出しても、さ」

 いつの日か、自暴自棄になって不安や恐怖に押し潰れそうになった私に優しくささやき、抱きしめたように、

「…………いいの?」
「うん」
「……少し」
「うん」
「泣いても……いい?」
「うん」
「……ぐすっ……うぅぅ……うぅぁ、うああああぁああぁぁぁああぁぁあぁっっっ!!」

 ドウセツは感情を全てぶつけるように泣き出した。
 目の前にいる人は、氷のようなクールで毒舌でもなく、この世界に生きるソロプレイヤー『漆黒』と言う人でもなく、どこの世界でもいる幼い子供のように私の腕の中で泣きじゃくるドウセツと言う少女を離さずに温もりを与えた。
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