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銀河英雄伝説3巻本(落日編)
序論:「銀英伝」と「水滸伝」
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るのは、15巻本の第3巻〜10巻・外伝1巻〜4巻と、3巻本の第3巻ということになる。

両者を比較・対象した場合にもっとも特徴的な点は、15巻本の本編3〜10巻・外伝1〜5巻で2回繰り返されるエピソードが、「第3巻・落日編」では1回に統合されている、という点である。

え?「2回繰り返されるエピソードなんてあるのか?」だって?
読者諸氏は、15巻本を読んでいて、思わなかったか?
この物語、地名や配役は変えても、同じ(またはきわめてよく似た)状況を、2回発生させることがよくあるなぁって。
私が気がついただけでも、そんな「くり返し」は簡単に、いくらでも挙げることができるぞ。たとえば。
(1)ビュコック率いる、自由惑星同盟艦隊 最後の戦い
  15巻本でいうランテマリオ星域会戦とマル・アデッタ星域会戦が一つの戦いに統合されている。
(2)ヤン・ファミリーとの決戦中にラインハルトが昏倒
  15巻本でいう「回廊の戦い」と「シヴァ星域の戦い」が一つの戦いに統合されている。
(3)神々の黄昏(ラグナロック)作戦
  15巻本では、第1次と、バーラトの和約をはさんで第2次と、2回あるが、これが一回に統合されている
(4)自由惑星同盟政府の瓦解
  15巻本ではヒルダ・ミッターマイヤー・ロイエンタールに対するトリューニヒトの降伏と、マル・アデッタ会戦後の自壊と2回あるが、1回に統合されている。

15巻本をよくよく読めば、このような事例はいくらでもでてくる。
これらの事例は、出版社から、1巻分のストーリーを11倍(本編7巻、外伝4巻分)にまで膨らませることを迫られた田中芳樹先生の苦心の跡として、理解することができる(ただしこれらは、元来の銀英伝が3巻で完結予定だったことを示しはしても、我々の手元にある紙束が「田中先生の未発表の手書き原稿」であることを、必ずしも立証するものではないことも、同時に指摘しておかねばならない)。

以上のように2回あるエピソードが1回に統合されると、それにともない配役や地名に大幅な変更が生じる。
とくに印象的な変更としては、以下のようなものがある。
 ・イゼルローンの再奪還はおこなわれない!
 ・ユリアンもカリンもでてこない!
 ・アッテンボローは第2巻でミサイル砲艦隊を率いているだけのモブ!
 ・ゴールデンバウム王朝最後の皇帝はエルウィン・ヨーゼフ(→皇帝誘拐事件はない。シューマッハとランズベルクの出番もない)
 ・ルビンスキーはフェザーン回廊が制圧された時点でオシマイ
 ・ビュコックの名ゼリフ「民主主義に乾杯」で、乾杯をおこなう相棒は、副官のファイフェル。
 ・ロックウェルに殺害される自由惑星同盟の最後の元首はトリューニヒト。
もっと面白いものもあるのだが、ネタバレになるので、これ以上は
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