第六章
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「いいわね」
「はい、わかりました」
美奈世もこう返した。
「私お姫様になります」
「そうしてね、ドラマはね」
「スタッフの皆さんと一緒に作っていくものですね」
「我儘は言わないでね」
このことも言う妙子だった。
「皆と合わせて」
「そうして、ですよね」
「一緒にやっていくものだから」
「私が、私がじゃないってことですね」
「そのことはしっかりとね」
「はい、肝に命じておきます」
「美奈世ちゃんはそうした娘じゃないけれどね」
実は美奈世は芯は強いが我儘ではない、むしろ他人を気遣えて周りも見られる娘だ。このことも芸能界向きと言われている。
「けれどね、念押しでね」
「マネージャーさん言ったんですね」
「あと。美月さんはね」
彼女の話もするのだった。
「気が強いっていうけれど」
「それでもですか」
「ええ、優しい人らしいから」
「安心して、ですね」
「そう、共演してね」
「わかりました」
このことも、と返す美奈世だった。
「私頑張ってきます」
「素晴らしいドラマにするのよ」
妙子は美奈世にこうも言って彼女の背中を押した。そうしてだった。
美奈世はそのドラマにおいて美月弥生と共演することになった、弥生は長身に見事な黒髪をショートにしている長い睫毛を持っていた、顔立ちははっきりとしていて化粧映えがする。脚が長く姿勢が抜群にいい。
その彼女を見てだ、美奈世はびっくりしてだ。思わず自分の横にいる妙子に対してこんなことを言ってしまった。
「あの、写真で観るよりも」
「ずっと綺麗っていうのね」
「本当にオスカル様みたいですよ」
「背も高いしね」
「これであの軍服を着られたら」
オスカルが着ていたフランス軍近衛隊将校の服だ。
「本当に」
「沖本美奈世ちゃんね」
「あっ、はい」
その弥生に声をかけられてだ、美奈世はびくっとしてだ。
背筋を伸ばしてそのうえで、弥生に応えた。
「そうです」
「宜しくね」
「は、はい。お願いします」
興奮を隠せないまま応える美奈世だった。
「これから」
「いいドラマにしましょう」
弥生はにこりと笑ってだ、そうしてだった。
弥生と挨拶の握手をした、その握手が終わってから。
美奈世は弥生と共にドラマの主演を務めた。ドラマの撮影は和気藹々としていていい雰囲気だった。そして。
弥生は妙子の言う通り優しくしかも面倒見がよかった、それでだった。
美奈世は彼女から色々と教わりもした、そうして無事にヒロインを務め。
その演技力が評判になった、元々演技力の評価は高かったが。
それでもだ、その演技がよくさらに評価が上がった。ドラマの視聴率も中々だった。
成功したと言ってよかった、美奈世は当然ながらこのことにも喜んだが。
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