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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
彼は誰時
序章
00話 黄泉路
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なんぞこの地球上に居ようか?否、居はしない。
 居るとすればあらゆる宗教、あらゆる国家、あらゆる人種からも無関係の神にでも問わねばなるまい。

 そんなものは在りえない。故に絶対の正義は存在しえない。それに、真実に客観的な視点を持った場合、どちらの言い分にも一定の正当性があるため甲乙がつけられない結果となる。
 つまり、正義を確定する答えは存在しないのだ。

 法律でよく示される普遍的正義とやらは絶対的正義としばし同一視されるが、その実態は多数派あるいはその時最も強力な派閥の正義である。
 正義に確固たる実態がない以上、その正義は解釈によりたやすく変動する。


 在りもしない正義、力を背景とした正義。………そのどちらも正義と信じるには値しない。
 行為の善悪、正義不義も見る人間によって万様に変わりゆく玉虫色のものでしかない。
 ならば、その善悪の問いに意味はない。正義不義の問いに意味はない。

 何を以て正義とするか、それは所詮は己の心のみが形作るのだ。
 正義とは他者と共有するものではない。正義とは掲げるものではない。正義とは押し付けるものではない。

 正義とは……貫くモノである。
 正義とは……道である。

 ならば、俺にとっての正義とは何か。………それは、何かを守るために身を挺して戦う戦士であることだ。
 しかし、その行いが善悪かは何の意味もない、それは見る場所と時間そして人によっていくらでも変わる。
 見も知らぬ人間に賛美されようとも、見も知らぬ人間に糾弾されようとも何の意味もない。

 善も悪も無価値であり故に等価、即ち善悪相殺。
 善悪に意味がなく、そのうえで何かを守らんとするのなら必然として守るべきものに優先順位が発生する。

 ならば、その守るモノの優先順位の頂点。真に大切なモノとは何か、それを意識した時胸に空虚の穴が開いた感触がした。
 大切なモノは幾らでもある、理性はそう告げている。
 しかし、心の中ではその一番大切なモノという玉座は空白のままだった。

 ああ、正義の味方なんて憧れなければ。
 ああ、正義とは何かなんて考えなければ。

 この空虚に気づくことは無かったのに………耐え難き飢えと渇き、そして飽きが俺を襲う。
 何をやっても満たされない、何をやっても詰まらない、何をやっても心が動かない。

 ああ、ああ、この空虚から誰か救ってくれ、この空虚を誰か満たしてくれ。
 俺は、命を燃焼させ、煌めかせて、駆け抜けて……生きている実感が欲しい!
 息をして、飯を食っているだけでは生きていると呼べても活きているとは言えまい、そんなもの家畜と変わらない。


 だから、己が全霊を懸けるに値する存在が現れるまで……俺は黒鉄の甲冑にして騎馬を操り己を刃とし戦い
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