暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
船上から戦場へ
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ムムム、と唸るが、それで状況が変わるはずもない。

―――無理をしてでも範囲を広げようか。………いや、まだ無茶をする段階じゃないか。

そこまでを胸中で呟き、少年は《超感覚》を断絶させた。感覚としては、焦点を遠くに当てていた目を、近くにシフトチェンジする感じだろうか。

「…………う〜ん。とりあえず、僕達の他にはプレイヤーいないみただね。侵入者(アイツ)らについては、ごめんちょっとわかんない」

「そっか。いや、うん、仕方ないよ。もともと、そういう風にはできてないスキルなんだから」

通常の、システム外スキルなどではなく、システムに規定された《索敵》スキルを使えばある程度は分かるかもしれないが、しかしその範囲はレンにしてみたら狭すぎる。あってもなくても、判っていても判ってなくとも同じようなものなのだ。

「これを踏まえて、ユウキねーちゃん。どうする?」

「えぇ?ボクが決めるの?」

「だって、少なくとも僕より判断能力が高いのはねーちゃんでしょ。現に今パッと思い浮かんだのは、正面突破くらいしかないんだし」

悪びれもなくしれっとうそぶく少年に、重いため息を手土産に少女は思案する。

「その猪突猛進は治したほうが良いと思うよー、ヒスイさんのために」

ヒスイとは、レンが立ち上げたALO内の一種族、猫妖精(ケットシー)の一軍。《狼騎士(フェンリル)隊》の参謀長を任されている女性のことだ。ケットシーならではのしなやかな肢体に、一度聞いたらなかなか忘れることのできない京都弁と関西弁が混ざったような口調は、ALOでも有名どころである。

普段飄々としているが、あれでもかなり真面目なところがあるので、その反動として破天荒なレン(と領主)の行動に一番振り回されるのは彼女であったりする。なんというか、極めて残念なポジショニングだ。

「……状況が不明瞭すぎる。今の段階で下手に推測するのは危険だよ」

「なるほど」

「だけどもし、このクエにリミットがあったら、なかなか笑えない事態になるかもね」

どう考えてもあの優しくても甘くないシゲ老人が、失敗したからまたチケットちょうだい、などという要求に応じてくれるとはにわかに思いがたい。ただでさえキナ臭いのだ。これ以上のキナ臭い展開に身をやつすのだけはご勘弁願いたい。

「とりあえず――――」

そこまで言って、ユウキはすばやく口を閉じた。自分たちがいるダクトの真下で、何やら物音がしたような気がしたからだ。

頷きあって、静かに耳をひんやりとする床部分に添えると、数秒で声の主がやってきた。だが、《聞き耳》スキルをとっていないからか、断片的な音声しか聞こえてこない。しかし声の主が男で、そして侵入者の側だということは辛うじて判別できた。

『………………どう
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