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復縁
第五章

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第五章

 茂久と千絵は相変わらずのその飲む量に内心驚いていた。しかしであった。頃がいいと見てお互いに目配せをしたのであった。
 そしてであった。千絵が房江にあるものを出したのである。
「これ一気に飲める?」
「?何これ」
「透明のお酒よ」
 今はこう言うだけであった。大ジョッキに入れられている。
「これ飲める?」
「私に飲めないお酒はないわよ」
 彼女は自信満々な様子で言葉を返した。酒が入ってそれでかなり上機嫌かつ強気になっているのである。そこそこ酔ってはきているのだ。
「何でも飲めるわよ」
「言ったわね」
「女に二言はないわ」
 今度の言葉はこれであった。
「それも言っておくわ」
「よし、聞いたわよ」
 千絵は彼女の今の言葉を聞いてにこりとなった。
「それじゃあ。ぐいっとね」
「ぐいっとね」
「一気って言ったけれどそれでなくていいから」
 同時にこうも言うのだった。
「流石にそれは危ないしね」
「それはいいの」
「いいわ。とにかくね」
「ええ、飲むのよね」
「そうよ。飲んで」
 とにかく飲んでくれというのである。それが今の彼女の策であった。
「ぐいっとね」
「それじゃあ」
 その大ジョッキを受け取る。透明な酒が並々と注がれている。房江はその酒が何か考えることなく口を近付けて本当にぐい、と飲むのであった。
 するとであった。妙な感触だった。飲んでみた感触は。
「?何、これ」
「美味しい?」
「ええ、美味しいわ」
 それは認めるのだった。
「ただね」
「どういう感じかしら」
「これ、日本酒よね」
 飲んでから怪訝な顔で話すのである。
「そうよね」
「ええ、そうだけれど」
「日本酒なのに何か」
 さらに言っていく。
「あれね。中に何か入ってるわね」
「その感触はどうかしら」
「悪くはないわ」
 それはいいというのである。
「何かこれはこれで独特の感覚で美味しいわね」
「そう、美味しいのね」
「ええ、美味しいわ」
 問われるまま答えるのだった。
「けれどそれがどうしたの?」
「聞いたわよ」
 千絵は今度は何故かにんまりとしたのであった。その顔での言葉である。
「確かに」
「聞いたわよって。何がよ」
「その日本酒はね」
 そのにんまりとした顔のまま話してきた。
「焼酎を入れてあるのよ」
「えっ!?」
 それを聞いてだった。思わず声をあげてしまった。
「焼酎って。だったら」
「そうよね。一緒よね」
「こいつと」
 思わず充を見た。見れば彼は丁度その焼酎を入れた日本酒を大ジョッキで飲んでいる。完全に彼女と同じものを飲んでいるのだった。

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