第十章
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第十章
「そうよね」
「ああ、そうだ」
「それなら。御願い」
「御願い？」
「そう、御願い」
理佐はだ。こうも言った。
「私だって自分が好きな人と付き合いたいと思ってたし」
「自分が好きな」
「そう思っているし」
言葉は現在形だった。過去ではなかった。
「これから御願いね」
「ああ」
真彦は理佐のその言葉に頷いた。
「俺も。宜しく」
「それじゃあまずは」
「まずは？」
「今日の放課後だけれど」
理佐からの言葉だ。それを言うのだった。
「一緒に帰ろう」
「下校に」
「うん。下校を一緒にね」
今の理佐の言葉を聞いてだ。周りは色めきたった。
「これってよ」
「そうよね」
「デートの申し込み！？」
「理佐から」
その通りだった。まさにそれだった。
その理佐はだ。真彦にさらに言ってきた。
「駄目？一緒に」
「い、いやさ」
真彦は顔を真っ赤にさせたままだった。その顔でまた言う。
「一緒に歩くんだ」
「駄目？」
「駄目じゃない」
それはすぐに否定した。本当にすぐだった。
「けれど。夢みたいだ」
「夢じゃないから。今日から一緒にね」
「ああ、帰ろう」
「それからだから」
理佐もであった。顔は真っ赤だ。その真っ赤になってしまった顔で自分と同じく真っ赤な顔になっている真彦に対して言うのであった。
「はじめよう」
「二人でな」
二人はその真っ赤な顔でこれからのことを話すのだった。そんな二人を見て周りは優しい笑顔になっていた。そうして彼等も言った。
「ハッピーエンドだな」
「そうね」
「まずは何より」
二人のことを見ての言葉である。
「これからも見させてもらうけれどな」
「さてさて、どうなるか」
「楽しく見させてもらおうか」
二人を見る目は何処までも優しかった。そして温かいものだった。二人は今ようやくはじまったのだった。かなり長い前置きの後で。
告白させて 完
２０１０・７・２８
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