第一話
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先行は攻撃できない。森川のターンはこれで終了する。
「マイターン、ドロー……ライド、《機械仕掛けの破壊者》ザ・ヴァンガード」
ソウガがライド先に選んだのは、ブリキのロボット、と形容したらいいのだろうか。そんなユニットだった。パワーは8000、効果なし。オーソドックスなバニラユニットだった。
何の変哲もない、各クラン共通効果ユニット。だが、そのカードを見た瞬間、森川の隣で戦況を見ていた、彼の取り巻きの一人……もじゃもじゃの髪の毛のほう…たしか井崎という名前だ…が叫んだ。
「《ハートレス・クラッシャー》……?それに、《ライフレス・シェイクスピア》……も、森川!ヤバイ、こいつ、《アルカナレイド》だ!!」
「アルカナレイド?なんだそりゃ」
森川は聞きなれない名前に眉をひそめる。
だが、シノはその名前に衝撃を味わっていた。
《アルカナレイド》。十年前、ヴァンガード黎明期にたった一弾の間だけ存在した、幻のクラン。もう誰も使わないと言われていたはずの存在。
「今じゃカードが現存してるのかすら怪しくて、高い所じゃ5万くらいで売れるぜ……!?」
「ま、マジか……よし」
森川はびしっ、とソウガを指さす。
「おい、お前!ルール変更だ。俺様が勝ったらお前のそのデッキ、全部いただくぜ!」
「そんな!」
思わずシノの口から悲鳴が飛び出す。むちゃくちゃだ。それに今ここでルール変更は卑怯だ――――
「……分かった」
だがしかし、ソウガはことも無さげに頷く。直後、彼は初めてシノの方を向き、言った。
「心配するな。勝てばいいのだから」
戦いは、まだ始まったばかり。
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