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東方攻勢録
第六話
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していた。
「師匠?」
「ああ、ごめんなさいね。ちょっと心配だったから」
「鈴仙と姫様のこと?きっと大丈夫だよ」
 そう言っていたてゐも、さっきからその場を行ったり来たりの状態で、不安を隠しきれていない。本音を言えば今すぐにでも援軍に行きたいくらいだが、ここに残らないと非難している人達を危険にさらすことにもなる。ただ無事を祈るしかなかった。
「そうね……優曇華も姫様も昔よりもたくましくなったと思う。だからこそ心配なのよ」
「そうだね……」
「……少し休憩でもしましょうか」
 永琳は机の上においていた急須を使ってお茶を入れると、一口飲んで軽く息を吐いた。
「今頃鈴仙とにとりが、内部工作をしてることかぁ」
「そうね。あの薬を使うことがないといいのだけど……」
「薬?」
 てゐの問いかけに軽く返事をした永琳は、近くにおいていた黒い箱の中から、緑色の液体が入った注射器を取り出した。
「これを打てば、能力上昇と共に身体的なダメージと疲労を感じなくなるの。アドレナリンが活発になるみたいな感じかしら」
「でもそれって……」
「ええ。その後の反動が大きいわ。優曇華は妖怪だから耐えれると思うけど、普通の人間だったら……無理でしょうね。ここぞと言う時意外使うなと言ってるけど、大丈夫かしら」
 永琳はそう言って、再び外を眺めていた。

 研究施設の地下では、今まさにその薬が使われようとしていた。当然鈴仙はこの薬の効果と副作用のことを知っている。そのせいか、何かに怯えるように手が震えていた。
(……迷ってる暇なんてない!)
 迷いを振り切って注射器を首元にさすと、一気に液体を流し込む。体中の血管に極細の紐が通っていく様な感覚の後、心臓の鼓動が急に大きくなっていく。一度視界が壊れかけのテレビのようにおかしくなった後、体中から痛みや疲れが抜けていった。感じなくなったと言った方がいいだろう。
 大きく深呼吸して心を落ち着かせると、一気に駆け始める。その姿はさっきまでのふらふらとした彼女の面影は見られなかった。
「なっ!?」
 さすがに男も驚きを隠せないようだった。あわてた様子で構えていたハンドガンを二・三度発砲させる。だが驚きで狙いがぶれたのか、弾丸は彼女の左右を通り抜けていった。
 身体能力も上がっていたため、男との距離は一気に縮まっていく。鈴仙は構えられていたハンドガンを弾き飛ばすと、そのまま男の鳩尾を蹴り飛ばした。反動で男は軽く吹き飛ぶ。薬の反動もあってかダメージも大きいらしく、鳩尾を抱えるようにして立っていた。
「どうしたんですか?」
「ちっ……」
 男は新しい注射器を取り出すと、素早く首元に突き刺し液体を流し込む。その後鈴仙に飛びかかってきた。少し横に動いて攻撃をかわすと、無防備になった体に蹴りを繰り出す。だが、男は冷静に体
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