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黒砂糖
第三章
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第三章

「私はもうおせんべいがあるさかい」
「それもお婆ちゃんが焼いてんで」
 このこともまた笑顔で話す昌美だった。
「もうお菓子やったら何でもできるから。ほんまに」
「凄い人なんやな」
 武蔵はせんべいまで焼くと聞いて思わず言葉を出した。
「せんべいまでいけるんやな」
「そやねんで。だから皆で食べような」
「そやな。何か僕もお婆ちゃんの話聞きたくなったわ」
 こうしてこの日は二人でその祖母の話を聞くのだった。話を聞けば余計にだった。武蔵は昌美の祖母についてさらに興味を持つことになった。
 次の日学校でもそれを話す。クラスでそれを昌美に話すのだった。
「本当に凄いお婆さんやね」
「そやろ?私もそれ教えてもらったんやで」
 笑顔で語る昌美だった。
「おせんべいの焼き方もな」
「それもやねんな」
「そやねん。他にもあんねんで」
 それもなのであった。とにかくお菓子やそういったものは何でも作られるらしい。武蔵は昌美からそれを聞いてさらに頷くのだった。
「ええなあ。うちの家の婆ちゃんなんかお菓子作られへんし」
「まあうちの婆ちゃん特別やさかい」
「よお考えたら昌美ちゃんのお家ってお菓子屋やったな」
「うん、そや」 
 実はそれが理由なのだった。祖母が菓子を作ることができて昌美にもそれを教えていたのは。家の仕事だったからなのである。
「そやから私も色々教えてもらってんねんで」
「色々とかいな」
「あのクッキー白い砂糖使ったんやけれどな」
 話は昨日のクッキーにも及んだ。
「他にも黒い砂糖も使うお菓子があるのよ」
「黒い砂糖?」
 武蔵は黒い砂糖と聞いて首を傾げるのだった。
「確かそれってあれやろ?何かサトウキビとかからそのまま取った」
「そや。それ使うお菓子もあるんやで」
 このことも言う昌美だった。
「白い砂糖使うだけやなくて」
「そやったんか」
 武蔵はそれを聞いて目をしばたかせた。
「黒い砂糖使うお菓子もあるんか」
「和菓子やけれどな」
 笑顔でこう彼に語る。
「ちゃんとあんねんで」
「そやったら」
 武蔵はその話を聞いて言うのだった。
「なあ昌美ちゃん」
「どないしたん?」
「僕今度その黒砂糖のお菓子食べてみたいわ」
「黒砂糖のお菓子!?」
「そや。あのお婆ちゃんの教えてもらったやろ?」
「まあ一応は」
 これは謙遜ではなかったが武蔵にはわからなかった。そして武蔵はわからないまま言うのだった。
「そやったら頼むで」
「黒砂糖のお菓子食べたいんやな」
「そや。だから頼むわ」
 こう言ってまた頼んできたのだった。
「それな。ええやろ?」
「そこまで言うんやったら」
 頼まれるとあまり強く言えない昌美だった。そうして武蔵の言葉にそのまま頷く。しかし頷
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