暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
絆固めて想いを胸に
[10/10]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
戯だろうと微笑ましく思っていたんだ。

 身体を起こせば、麗しい声が響いて、高らかな笑いが迎えてくれると、そう思っていたんだ。

 だというのに

 見渡す限りの荒野が広がっていて、周りには誰一人としていなかった。

 吹き抜ける風は涼しく、心の中にまで入り込んでくるような

 そんな寂しさを宿していたんだ。

 頭が痛かった。

 ナニカガオカシイ

 警告のような痛みは、ズキズキと現実を受け入れろと理解を促した。

 シッテイルハズダロウ

 思い出せというように、この見た事のある風景が、胸を打つ鼓動の度に震えていた。

 コノアトニダレトデアッタ

 もう、失われた大切を思い出したくなかったから、蓋をするように瞼を瞑った。

 ホラ、マダセカイヲカエテナカッタ

 受け止める事の出来ない現実が、無情にも自分の耳から入り込んできた。



 タイセツナモノヲスクワナイト

 世界は、変わらない。




 優しい声が耳を打った。

 溢れる涙は、止まらなかった。

 もう一度会えるなんて、思わなかったから。

 もう二度と会えないと、分かっていたから。

 だから……その胸に抱きついて


 “自分を知らない彼女だとしても”

 今度こそ生かしてみせようと

 あの時、心に決めたんだ。




[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ