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スミレの花が咲いて
スミレの花が咲いて
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いた。
「やってみます」
「よし」
 長老はそれを聞いて頷いた。
「では行くがいい。必ずや倒して来るのじゃぞ」
「はい」
 こうして若者は旅立った。その行く先は山である。妖術使いが棲むというあの山であった。彼は長老に言われた通りその山に進んだのであった。
 山は白い雪に覆われていた。そして吹雪が吹き荒れる。だが彼はそれでも先に進んだ。
 そして中頃まで行くとあの白鷺が姿を現わした。白鷺は上から彼を見下ろしていたのだ。
「来たか」
 彼はそれを見て呟いた。そして背中に担いでいた弓を取り出した。
 白鷺は彼を見ると降りてきた。まるで櫛風の様な速さで彼に襲い掛かる。だが若者はそれを見ても冷静なままであった。白鷺から目を離さなかった。そして弓を放った。
 弓は空気を切り裂き風となった白鷺に襲い掛かった。そして若者に襲い掛かろうとする白鷺の胸を刺し貫いた。これで白鷺は岩場の上に落ち事切れてしまった。
「死んだな」
 若者は白鷺の屍の側に来てそれを確かめた。見れば確かに事切れていた。彼はそれを見て頷いた。
「あとは妖術使いだけだな」
 彼は先に進んだ。すると暫くして妖しげな仮面を被った男が前に姿を現わしてきた。
「よくもわしの白鷺を殺してくれたな」
 彼はしわがれた声で若者に対してそう言った。
「覚悟はできておろうな」
「覚悟だと」
「そうだ」
 妖術使いはそれに答えた。
「使い魔の仇はとらせてもらうぞ」
「勝手なことを」
 若者はそれを聞いて言った。
「村を荒らしたのは貴様の方だろうが」
「それがどうした」
 妖術使いはそれを聞いて言った。
「貴様等の村を荒らして何が悪いというのだ」
「多くの人が傷つき、死んだのだぞ」
「そんなことは知ったことではない」
 だが妖術使いは悪びれることなくそう言い返した。
「他の者がどうなろうと知ったことではないわ」
「貴様」
 若者はそれを聞いて怒りで顔を紅潮させた。そして斧を手にとった。
「もう許さん。今ここで倒してやる」
「できるのか、貴様に」
「やってやるさ」
 若者はそう言い返した。
「行くぞ」
 斧を振り被って妖術使いに襲い掛かる。彼はそれを見て悠然と構えた。そして手に持っている杖を上で振り回した。
「むっ」
 すると妖術使いの左右にある岩が浮き上がった。そして若者に飛んで来たのだ。
「これでも受けるがいい」
 妖術使いは笑ってそう言った。岩はそのまま若者に当たろうとしていた。だが彼はここで手に持っている斧を振り回した。
「こんなもので!」
 そして岩を叩き落とした。そしてさらに妖術使いに迫る。彼はそれを見てまた杖を振り回した。
「なら
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