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DAO:ゾーネンリヒト・レギオン〜神々の狂宴〜
第十二話
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 ノイゾが近くにいる。コクトは、本能的にそう感じた。

 
 そしてその勘がはずれていなかったことは、すぐに証明された。

「ようこそ、《白亜宮》へ」

 演技めいた仕草で両手を広げ、ノイゾ・イクス・アギオンス・レギオンビショップは嗤う。ゆらり、ゆらり、と影のようにローブの裾が翻り、彼女の存在が揺れる。

 その背後にあるのは、地球儀のような形状をした、巨大な球体。自ら強く青白い光を放っており、ゆっくりと回転しているのが分かる。

「……ここは《白亜宮》の中なのか?」
「いかにも。ここは我が《白亜宮》内部にして、私が管理を担当している《記録儀の間》だよ」

 ラーヴェイの問いに、ノイゾは聞きなれない名前を交えて答えた。

「いやはや、よもやここに辿り着くとは思っても見なかった。時折我が兄の考えていることは分かりづらいが、まさか貴殿らを私とぶつけに来るとは――――」

 小ばかにしたような調子を崩さず、ノイゾはくつくつと笑う。

「……その言い方は、我々と戦う意思表示だとみて構わないな?」

 ラーヴェイが一歩踏み込み、問う。だがノイゾは、ラーヴェイの気迫など歯牙にもかけずに再び嗤い、

「ああ、いかん、いかんよ。その様にに血気盛んになっていては、欲しいものも得られないだろう――――まぁ、その質問に答えるのだとしたら、答えは《否》だな。私が貴殿らと戦えば、我が兄の暇つぶしにもなりはしないだろう」

 その言葉は、彼我の実力の圧倒的な乖離を示すものだった。むろん、どちらが上でどちらが下か、などとは言うまでもない。

 今、コクトとラーヴェイが彼女に挑めば、小虫の如く叩き潰されて終わるだろう、という、確信に近い予感があった。

「しかし我が兄も、別段何の意味もなくここに貴殿らを招き寄せたわけではあるまい――――恐らくは、ふさわしい舞台があると予測してのことだろう。全く、我が兄の創世能力には、常々感服するのみだよ。私も演者の端くれとして……また、『その役割』を任されたものとして、多少は自信があるのだがね……我が兄はいつでも私の予想の上を行く。どれもこれも、彼の掌の上、だ……ある意味では快感でもある」

 いつまでたっても、話しの本筋が見えない。演技めいた口調で、唯々、ノイゾは喋るだけ。

 だが、その奇怪な間も、いつの間にか終わりを告げる。

「――――ああ、いかんな。我が兄を語っていたら収拾がつかなくなってしまう。いつまでたっても語り続けてしまいそうだ。だが、それでは我が兄の意向に反する――――故、貴殿らを叩き潰す演目を開始しよう。第一幕はすでに終幕した。貴殿らはあの影の蛇(シャドウヴァイパー・オブ・エンヴィー)を乗り越えてきたのだろう?」

 それがここに来る前、コクト達のゆく
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