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滅ぼせし“振動”の力を持って
彼と女と唐突と
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カヅチが上から見ていた。もう一つの暗躍も、呆気なく終了したのであった。





 イカヅチからの報告を受けていたか一人で軽く頷いていたコダマは、連絡を聞き終えてから海童へ向き直った。


 海童は申し訳なさそうな表情で、帽子を押さえて頭を下げる。



「さっきはすいませんでした・・・助ける為とはいえ・・・」
「いや、よい。代わりに礼を言わせてもらうぞ?」
「はい? ・・・むぐっ!?」
「んぅ・・・ぷはっ。これが、その気持ちじゃよ」



 二度目の接吻を自分からしたコダマは、意味深な笑みを浮かべて下がった。



「ふじゅじゅ、ふじゅじゅじゅっじゅじゅじゅじゅじゅ〜〜〜・・・」
「うわあぁぁぁああん! ひどいですぅぅううっ!?」
「カ〜イ〜ド〜ウ〜・・・!!」

「何なんだ・・・何が起こってんだってのオイ!?」
「フフフっ」



 結局の所、この日のデートもどきはまたもやドタバタで終了してしまったのであった。














「なるほどなぁ! そりゃ災難やったなぁ! ハハハ!」
「笑い事じゃないんですよ・・・」



 翌日の昼。


 教室では無く検警部の部室で、海童は昼食を取っていた。・・・とはいっても、まだ弁当箱を開けていないのだが。

 部室にはチャチャと季美がおり、海童の顔にやたら疲れが見えたので聞いた所、先日のデート(?)の件を海童は話し、大笑いが返ってきたという訳だ。



「でもでも・・・海童君、キス、しちゃんたんでしょ?」
「そやなぁ、ホンマは美味しいと思ってるんちゃうかぁ?」



 二人の楽しそうな言葉を受けた海童は、歯を僅かに食い縛って顔に手を当てて、軽く項垂れながら頭を振った。



「イナホには散々泣かれ、碓は間接キッスさせろとか言って俺とキスしようとしてきたのが?」
「どきっ?」
「どきっ、じゃないですよ、普通に気持ち悪いですって」
「ならハルコは? ハルコはどうやった?」
「ハル姉は逆に反応が無くてですね・・・何だか不気味で・・・」
「確かに不気味やなぁ」



 言いながら弁当箱を開けた海童は・・・次の瞬間絶句する。



「ケ、ケーキオンリー・・・だと・・・!?」
「アハハハハハ!! しかもクリームで『スケベ』やて! 流石ハルコやなぁ! ダハハハハハ!!」



 甘い物が食べられない海童は全部チャチャと季美に食べてもらう事になり、結果この日は弁当抜きで苦しい思いをするのであった。


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