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仮面ライダー龍騎【13 people of another】
Part One.
First chapter.
第10話
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、誕生日って聞くと…お祝いしなきゃって…えっと……ごめんなさい、うまく言えないです。これ(・・)を亮平さんに言うのはどうかと思いますし……」
「いや、大丈夫だよ」

……そうだよね。ナナくんにも言いたくないことの一つや二つ……。

と、亮平はそう思って深く詮索しないようにしようとしたのだったが。

「あれはもうだいぶん前のことです」
「あれ、言うの!?」



───…



「ナナさん」

それはナナがまだ5歳の頃。
浅倉が死んでまだ数ヶ月しか経っておらず、浅倉が目の前で死んでナナ自身の心の傷がまだ癒ていなかったころ。
ナナは当時、浅倉を射殺した警察機動隊の読川という男に引き取られることとなった。
そこには、彼の妻もいた。彼女はとある浅倉の起こした事件のせいで子供が産めない身体になったそうだ。直接聞いたわけではないが、大人たちの会話を聞いて何と無くそういうことなのだろうと理解した。

「なんですか?」
「あの人と相談して、今日をナナさんの誕生日にすることにしたの……」
「なんで……今日?」
「今日、4月10日は……あなたの大事な人の誕生日だから……」

彼女たちは恨んでいるであろう、浅倉威の誕生日をナナの誕生日にした。一種のナナに対する償いなのかもしれない。それでも、その時まで戸籍が正式になかったナナにとって、誕生日をもらえなことはとても嬉しい事だった。

「誕生日、おめでとう」

そう言った彼女の顔を、ナナは忘れたことがない。
とても、苦しそうな彼女の顔……。

……やっぱり、この人もあの人の事を恨んでいる人なんだ……。

本当の親でもない彼女を、感謝をしたことは何度かあったが、信じることは一度もなかった。



───…



「まぁ、俺の誕生日は俺が世界で一番尊敬している人の誕生日なんですよ」
「それって、ナナくんがいつか言っていたナナくんのヒーローのこと?」
「はい!」

ナナは詳しいことまでは亮平に伝えなかったが、簡単にどれだけ彼が自身の誕生日を大事にしているかを伝えた。

「ナナくんは本当にその人が大好きなんだな」
「ええ、あの人がいなかったら俺は生きてません」
「命の恩人ってことか……もしかして、ライダーになったのも、その人に憧れたから?」
「…………そんなところです」

ナナは亮平から目を逸らした。
確かにナナは浅倉に憧れているし尊敬している。
しかし、ライダーになったのはそれが理由ではない。

「そろそろ、帰らないと夕飯作る時間なくなっちゃうんで……失礼しますね」
「うん、気を付けて」



──────────…



次の日の朝、亮平は芳樹よりも早く起きた。
ファッションコンテストの最終チェック
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