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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
アスターテ会戦?
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 明確に国防族議員の育成をしていたのも730年マフィアの特徴だった。
 それは彼らが遅く政界に入らざるを得なかったからで自派形成の為にやむをえず行った事だが、この自派形成の遅れが政治家としての男爵と人形師の足を最後まで引っ張り続けた。
 そして、ファンが国防委員長職を長期で守り通したのも、この二人の後で芽が出てきた自派議員達のおかげである。

「次の案だが、『固定値』を攻める。
 こいつは人形師の口癖だったな。
 戦闘における変動値を追っかけていてもその変化に人間が耐え切れないならば、変わらない固定値に注目するべきだ」

 首をかしげる会場に対して男爵は具体例として仲間の話を口に出した。

「行進曲ジャスパーを例にしよう。
 あいつはどういう訳か、勝勝負、勝勝負と勝敗に一定のルールがあった。
 で、負けの時に当たった将兵が逃亡するとかで結構な問題になってな。
 その解決策に尽力したのが人形師だったという訳だ」

 話をしながら、聴衆の顔色は常にチェックする。
 ぴんと来た連中が多かったのは近年人気が高くなった技術士官候補生と緑髪の女性士官達。

「そう。
 人形師の研究していたドロイドとアンドロイドの出番という訳だ。
 ここにも結構な数のアンドロイドがいるみたいだが、これらの初期ロッドのほとんどがジャスパーの負けに使われて宇宙の塵になった。
 それによって助かった連中の数は累計で三百万人を超え、同盟軍を支える一翼を担ったという訳だ」

 このあたりは少し調べれば出てくる話だ。
 だからこそ、こんな場所なのでもう少し踏み込んだ話をしようと男爵は爆弾を口にした。

「で、俺達が将官となって作戦に関与できるようになってからだが、積極的に負けの時にジャスパーを『負けさせた』。
 もちろん、ジンクスを崩さない為だ。
 端末を持っている奴は調べてみてもいいが、中盤からのあいつの負けは、戦隊規模の偵察任務でかつ遭遇戦に限定させている」

 千隻規模の戦闘で半分近く船を失う大敗で消える命はおよそ五万人。
 それにもアンドロイドやドロイドを用いた結果、人命損耗率は三万人を割り込んでいた。

「更にここからがえぐいんだが、大勝した帝国軍が調子に乗って奥に突っ込んでくるケースが多くてな。
 その後の戦いでポロ勝ちした結果、ジャスパーの大敗を『決戦前の陽動』と定義づけた訳だ。
 つけたのはファンの奴だが、知った後ジャスパーと殴り合いの喧嘩をしてな」

 楽しそうに話す男爵とはうって変わって会場内ドン引き。
 だが、人的消耗率という観点から見て、その後の会戦までいれた戦果で同盟の人的消耗は五十万を割り込んだのに対して、遠征軍である帝国の人的消耗は常に百万を超えていたのである。
 そして、その人的消耗はボ
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