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仮面ライダー龍騎【13 people of another】
Part One.
First chapter.
第9話
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は出てこなかった。そう、出てこなかったのだ。

─「芳樹、頼む!ナナくんと油島さんの仲を取り持ってくれ!お前にしかできないんだ!」─
─「しょ、しょうがねぇな……」─

……何がWしょうがねぇな……Wだ、死ねあの時の自分!!

「ナナ」
「なんですか?」
「そろそろ油島を許してやったらどうだ?」
「………夕食の件はもうとっくに許してます」
「え、そうだったの?」

ナナは何も言わずにコクリと頷く。

「実は、この前コッソリ家に帰ったんです……」
「それで?」
「なんか、すごい散らかってて…アレを俺が片付けるんだ……と思うと……」
「……帰りたくないよな。俺がナナなら多分おんなじことする……けどさ、あのままじゃあの人絶対死んじゃうから……」

油島はなにも気にしていないようだが、彼は生活力と言うものがない。部屋を散らかしてもそのままだし、洗濯物はすべてクリーニングに出すし、ご飯もデリバリーかコンビニ弁当。
ナナが来てやっとまともに生活できていたくらいだ。

「でも……」
「安心しろって、ナナ!油島さんの家は俺も一緒に片付ける!」
「芳樹さん……」
「だから、とりあえずそのアップルパイの食べ方やめろよ。怖いから」
「あ、すみません」



───…



「ナナの奴、仲直りできたらいいんだけどな」

それは、ナナと別れて自宅へ戻って来たところだった。

「あの、すみません」
「ん?」
「俺、今日から隣に引っ越してきた植原数馬って言います!よろしくお願いします!」
「隣に……?あ、俺は桑元芳樹。もう一人、塚原亮平って奴と一緒に暮らしてる」
「ルームシェアってやつですか?」
「まあ、そんなとこ」

植原は人の良さそうな顔をして芳樹に笑いかける。
芳樹はそんな植原に疑いの目をかけることは勿論しなかった。この男、植原も桑元の正体に気が付いていないのだが、二人は仮面ライダー。そして植原は芳樹達の考えに反する果敢に願いを叶えようとするライダーなのだ。

「俺、今年の春に大学生になったばかりなんですよ!」
「じゃあ、後輩だな。わからないことがあったら何でも聞いてくれよ」
「はい、ありがとうございます!」

それが二人の出会いだった。


その頃、ナナは……

「油島さん、すみませんでした!」

ナナは油島に謝っていた。
流石に自分にもひがあることを承知の油島もすぐにナナに謝った。
人とは不思議なものだ。些細なケンカは本人達の努力次第で良くなり、さらに強いものとなることもあるが、逆に些細な溝が大きくなることもある。

「俺の方こそ、悪かったな」
「油島さん……でも、俺は実はあのことすぐに気にしなくなってて……」
「じゃあ、なんで戻って来なかったんだ
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