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雲は遠くて
56章 芸術の目的は人間を幸せにすることにある
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56章 芸術の目的は人間を幸せにすることにある

 9月28日の日曜日。まだまだ、日差しは暑いが、
景色はすっかり秋めいている。

 午前11時ころ。新宿駅・東口の3丁目にある、カフェ・ド・フローラ
(Cafe de Flora)に、川口信也や清原美樹たち、16人ほどが集まっている。

 店の名前の「フローラ」には、ローマ神話の、花と豊穣(ほうじょう)、
春の女神(めがみ)などの意味が(ふく)まれている。

 カフェ・ド・フローラは、知的な雰囲気の店で人気があり、
料理とカフェとバーと、音楽や本を融合した、
新しい本や音楽に出会える現代的な総合飲食店であった。

 新宿・東口店は、2013年10月のオープン、新宿西口店は、
2013年1月のオープンで、キャパシティーが、150席、170席と、
この新宿では両店ともに広かった。株式会社・モリカワの経営である。

 ゆったり広めの店内には、カウンター席もあるが、
4人がけのテーブルが、数多く並んでいる。

 今回、集まった人たちの席順は、テーブルの壁側には8人、右から、
もうすぐの10月7日で22歳になる早瀬田(わせだ)大学、
理工学部、3年生、ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の幹事長の、
矢野拓海(たくみ)。矢野と交際中のグレイス・ガールズの、
ギターリスト、水島麻衣。次に、グレイス・ガールズのドラマー、
菊山香織。その隣が、菊島と交際中の、クラッシュビートのドラマーで、
リーダー、モリカワの課長の森川純。次が、東京・芸術・大学の音楽学部、
ピアノ専攻の4年生で、人気上昇中の松下トリオとしてプロの音楽活動もしている、
松下陽斗(はると)。その隣が、陽斗と交際中の、グレイス・ガールズの
リーダーの清原美樹。その次は、グレイス・ガールズ、ギターリストで、
川口信也と交際中の大沢詩織。1番左は、グレイス・ガールズのべーシスト、
平沢奈美である。

 テーブルのホール側には8人、左から、クラッシュビートのベーシストで、
モリカワの課長の高田翔太、次に翔太と交際中の森田麻由美、
その隣が、クラッシュ・ビートの、ギターリスト、モリカワ本部の課長、
岡林明。その隣は岡林と交際中の山下尚美。次が、早瀬田大学、
商学部、2年生、ミュージック・ファン・クラブの会計を担当、
パーカッションが得意の岡昇。次が、岡と交際中で、レコーディング中で、
メジャーデヴューも近い、南野美菜。その次が、クラッシュビートの
ヴォーカルで、モリカワ本部の課長の川口信也。1番右には、
早瀬田大学、商学部、4年生で、テーブルの向かいの席に座る
平沢奈美と交際中の、ミュージック・ファン・クラブのメンバー、
22歳の上田優斗(うえだゆうと)が着席している。


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