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少年少女の戦極時代U
運命の決着編
第125話 知らずの罪
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に、血が一滴、二滴と注がれていく。こく、と動く舞の喉。

 ヘキサはしばらくそれを続け、舞の傍らから離れた。

 ぱき、と音を立て、変化しつつあった舞の体表が剥がれ落ちていく。やがて体表が落ち切って、露わになったのは舞本来の白い肌だった。

「やった――!」

 周りから歓声が上がる。

 だが、舞の変化はそれで終わりではなかった。
 舞の胸の谷間が金色に光り始めたのだ。

「え、なに。ヘキサ?」
「ち、ちがうわ。わたしにこんな力なんて」

 金の光は舞の胸から波紋を描くように全身に広がった。そして今度は、指先や爪先から、徐々に四肢を金色に染めていった。

「何だよ……何だよ、これ! 舞、舞!」

 紘汰は舞の肩を掴んで揺さぶった。しかし、光の波及は止まらない。

「……なあ。俺、今、ちょっと思ったんだけど、さ」

 ザックは一度だけヘキサを見てから、再び皆を見回した。

「仮にオーバーロードとその“はじまりの女”が違う存在だとして、ヘキサの血がオーバーロード化を止めた分、はじまりの女になるスピードを早めた――ってのはありえないか?」
「そん、な。じゃあ、これ、わたし、の、せい」

 ヘキサは膝から床に崩れ落ちた。そして、簡易ベッドに寄り縋った。

「ごめんなさい、ごめんなさい、高司さん……!」

 謝っても、舞の体に広がる金色の光は消えない。ヘキサはさらに涙した。

 やがて金の光は舞の頭の天辺から爪先まで全てに回り、一際強く輝いた。誰もがつい眩しさに目を覆った。
 視界が元に戻った時、ベッドの上に舞はいなかった。ベッドの上には。

 それを舞と呼んでいいのか、紘汰には分からなかった。

「舞、なのか?」

 金色に輝く光がヒトの形を象っている。
 顔立ちは舞そのものだが、髪は金に、右目は赤に染まり、白い祭服に身を包んでいた。

 白い女は、ゆっくりと舞い降りると、まずヘキサの泣き濡れた頬に触れた。

「  泣かないで ヘキサちゃん  」
「たか、つかさ、さ……でも、わた、わたしの、せいでっ」
「  あたし、決めたんだ みんなが良かれと思ってやったことが悪い結末に繋がるなんて、酷い運命にならないように 精一杯のことをやってみるって  」

 次いで白い女は紘汰の前までやって来た。

「  ヘキサちゃんを責めないで あたし、こうなってよかった やっとあたしも、紘汰たちのために何かができる  」
「ま、い」
「  ごめんね わがままで あたし、紘汰や戒斗が傷つくの、もう見たくない そんな運命にさせたくない だから――行くね?  」
「舞!」

 紘汰は白い女に手を伸ばした。
 だが彼女は金色の光粒子となって、ガレージから消えた。

 紘汰は
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