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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆仲間の死を糧に
第四十八話 先に進む勇気を
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 高い金属音が響いた。シリカがアイリアをかばって飛び込んだ。シリカの短剣が弾き飛ばされ、洞窟の床に転がった。
「シリカ、スイッチ!」
 マルバがすぐに援護に入った。敵の剣を跳ね上げ、強力な短剣技を叩き込む。
 いつもならここでミズキがタゲを取り直し、防御を固める局面だが……しかし、今やその役目を担うべき人は居ない。硬直が解けた敵がマルバより先に動き出し、剣を再び振り上げた。
「させない!」
 シリカが割り込んで、敵のソードスキルを相殺するように手刀技を発動させた。ソードスキル同士がぶつかり合い、一瞬、目の眩むような光が走ると……がすっという嫌な音と共にシリカの手首から先が切り飛ばされた。ある程度相殺されたものの、それでも十分な威力を持ったソードスキルがシリカの胴を切り裂く。一割以上のHPを削られ、彼女はマルバを巻き込んで吹き飛ばされた。
 とっさにアイリアが敵の間合いに踏み込んだ。彼女はかつての短槍の代わりに、今は両手槍を武器にしている。硬直した敵に、槍術で攻撃をかけるが……ここの敵は突属性に強い。残り二割ほどのHPを削りきれず、敵はHPを僅かに残していた。今度は敵が攻撃を仕掛け、アイリアはバックステップでかわす。マルバが投げた短剣が、その僅かなHPを削り取った。

 あまりにもお粗末な戦い――。彼らの横を他のプレイヤーの一団が通り過ぎ、憐れみの視線を向けた。マルバはあまりの悔しさに、思わず地面を殴りつけた。彼らは限界を感じていた。ミズキが死んだ今となっては、今までの戦術を継続できるはずはなかったのだ。
「帰ろう」
 マルバが短く言うと、シリカは無言でうなずいた。しかし、アイリアは首を振った。
「もうやめよう――お兄ちゃん」
 マルバは思わず言葉に詰まった。いつかアイリアがこう言い出す日が来るかもしれないと予想はしていたが、彼には心の準備が足りなかった。
「もう、無理だよ。私が足を引っ張ってるのは分かってるんだ。私が抜ければ、もっと安全に戦えるようになる。お兄ちゃんだって分かってるでしょ」
 そう、マルバにも分かっていた。今の構成では、明らかにアイリアは足手まといだった。長物使いは盾使いの後ろからスキルを放つのが良いのであって、短剣使いの後ろからスキルを放っても、短剣使いのスキルとぶつかって邪魔をするだけだからだ。
「アイリアさん、そんなこと言わないでください。わたしたち、いままでずっと一緒にやってきたじゃないですか」
 シリカの説得も、明らかに説得力を欠いていた。アイリアは再び首を振った。
「いままでうまくいっていたからこそだよ、シリカちゃん。私はお兄ちゃんやシリカちゃんに迷惑をかけてまで、このパーティーにいたくない」
 決定的だった。彼らは自分が今までの二年間をかけて培ってきたスキルを捨てることはできなかった。たとえシ
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