暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
過去‐パスト‐part1/少年の悪夢
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食の調理中だった母の姿はなく、仕事で疲れて帰ってきた父の姿もなく、真っ暗な家が静まり返った空気を出しながら迎えてくるだけ。
引き取ってくれるような親戚もおらず、サイトは孤独だった。彼を憐れんだクラスメートや教師たちは、まるでサイトを壊れ物のように扱う者ばかりで、全く持って学校生活にも充実感が沸かない。
サイトはついに一人ぼっちのまま日々を過ごしていた。保護者がおらず、進学先の高校も決まらず、将来の夢もなく、頑張る気力が何も起きない。そのため、成績も自然とガタ落ちしていった。



しかし、サイトへ手を差し伸べるように一つの光が差し込んできた。
家のインターホンが鳴り、サイトは玄関の扉を開けて訪ねてきた二人を見ると、街の役所の職員ともう一人、若き頃の麗しさを保っていた壮年の女性が底に立っていた。
「平賀、サイト君かしら?」
「えっと…どなた…ですか?」
「私は、『友里アンヌ』。今日からあなたの保護者になる人よ」
女性の名は、『友里アンヌ』。なんでも、サイトの両親が死んだ、ボガール・ツルギ・メビウス&GUYSの三つ巴の戦いで被害にあった人々のための応急救護所で、親を失って悲しむサイトを見かけ、しかも保護者となる人物がいないまま日々を過ごしていると聞いてやってきたと言う。メビウスが現れて以降の事件、サイトのように身よりのない子供たちを保護者がいない子供たちを、特に深い関係でもなかった一家が引き取るということは、かの有名なウルトラ兄弟たちが活躍した昭和時代の怪獣頻出期でよくあったことだった。
義母のアンヌは、とても優しくて慈愛に満ちた人だった。だが、急に現れた新しい母の存在に、サイトは戸惑いを覚えていたために、本来の順応性がなりを潜めてしまい、すぐに打ち解けることができなかった。
「…ありがとうございます、アンヌさん」
アンヌが毎日食事を作っても、他人行儀姿勢を崩さず…。
「何か欲しいものはないかしら?」
「…別に」
欲しいものがないか尋ねても、特に答えず…。
「あら、サイト。あなた怪我をしてるじゃない。傷を見せなさい」
「…いいよ。別に」
「いいわけないわ。ほら、私の言うことを聞いて…」
「勝手に押しかけてきておいて…ほっといてくれ!」
「サイト!!」
サイトの周囲の環境が変貌したために友人関係にもヒビが入ったことでクラスメートと喧嘩し、怪我を負った時も母親の手慣れた治療を受けようともせず、アンヌを突き飛ばして部屋に閉じこもるようになった。
優しい義母という新しい家族を受け入れきれずにいたサイトは、新しい日常を得たと同時に憎んだ。両親の仇…『ハンターナイト・ツルギ』を。


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