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日向の兎
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に掌底を寸止めする。
「さて仕切り直しだ、それとも少し休憩を挟むかね?」
「まだまだいけるってばよ!!けど……手首嵌めて欲しいってばよ」
「ああ、すまない。ネジとの癖でな……あれはいつも勝手に嵌めてまた挑んでくるからな」
「ネジって誰だってばよ?」
「なに堅物の弟だ……と言っても同じ年に産まれたので年齢自体にそう差はないが、私の方が産まれが若干早いので弟ということになるな。いやはや優秀ではあるのだが向上心が無いというか生真面目というか……」
アレももう少し素直さがあれば中々いい男なのだが、いやはや人の世とは上手くいかんな。
「ねえーちゃんも愚痴とか零すんだな……意外だってばよ」
「何を言う、私とて君とそう年齢に差はない悩み多き少女なのだ。愚痴くらいいうことはあるさ」
「いや、だってねえーちゃんってば俺よりもっと年上な雰囲気だし、そう言われてもあんまり信じられないってばよ」
「ふむ、女性に対してそういう物言いは良くないぞ。そんな事を言われると傷付いてついうっかり加減を誤ってしまうかも知れないじゃないか」
「ねえーちゃんが言うと洒落にならないってばよ。それよりさねえーちゃん、俺に必殺忍術とかも教えて欲しいってばよ!!この組手もいいけどたまにはそういうのもやりたいってばよ!!」
「必殺忍術か……では、二の打ち要らずという言葉を教えてやろう」
「二の打ち要らず?忍術の名前か何か?」
「いや、とある書物に載っていた言葉でな。とある拳法家の逸話のようなものでな、牽制やフェイントの為に放ったはずの一撃ですら敵の命を奪うに足りるものであったというものだ。
言ってしまえば必殺忍術など必要ない、全ての一撃を必殺にすることを目指すべきという話だよ」
「それが凄いってのは分かるんだけど、やっぱり派手な一撃とかの方が俺ってばカッコイイ気がするってばよ」
「派手な一撃ね……いいだろう、我が未熟さを晒すというのも修練と諦めよう」
私は近くの小さめの木に掌を当てて、意識を集中させる。そして、脚、腰、肩、肘、手首、あらゆる関節を活用し接着した状態で掌底を打ち込む。
すると、木は一瞬膨らんだ後にそのまま破裂した。
「本来は人間向けなのだが……どうする?」
「いやいや、いいってばよ!!もう十分だってばよ!!」
そうか、それは残念。近くを探せば山賊くらいならいるんじゃないだろうか?







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