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ゾンビの世界は意外に余裕だった
12話、色々たくさん
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コンタクトの学生とリーダーの高橋さん達のグループを思いだしていた。

「ありがとうございます」

 島田一等兵はもう十分休んだと行って車に乗って去った。

 さて、次の生き残りの所に向かう。人の良さそうな五十代の三島夫婦はすぐに契約書をサインした。夫は建設業の工務店を自営業でしている。慶太から夫婦は最初に体育館に居たと聞き、その時の話を夫の方から聞くことにした。

「私達はあの時体育館に居ました。就寝時間の九時で照明を弱めた直後のことです。急に一人が例の病気を発症して暴れ始め騒ぎになりました。若者や警備の兵士の方々が十人ほどを取り押さえ終え、皆噛まれていないと言って安心したのもつかの間……」

 真っ青な顔の夫はお茶を一口飲んだ。

「突然、病人を抑えていた兵士や若者の何人かが発症して、千人近い人達が混乱してしまったのです。体育館の入り口に皆が殺到してつまってしまい、外から援護にきた兵士達が中に入れなくなってしまいました。私達は幸い入り口近くに居てすぐに外に出られたのですが、背後では今でも耳に残る凄い悲鳴と怒号が響いていました。おそらく後ろで並んでいた人達が順番に病人に襲われていたのでしょう」

「それから、私達はとにかく車の中で待っていれば、軍隊が病人達をなんとかしてくれると思ったのです。結果は逆で病人が軍隊を追っ払ってしまったようですが」

 夫は話を終えると下を向き、妻の方が励ましている。

「取り押さえていた人達は本当にゾンビに噛まれていなかったのですか」
「ゾンビ? ああ、少なくとも病人に噛まれていないと、みんなが言ったことは確かです」

「そうですか、お話し下さりありがとうございます。大変参考になりました。……キャリー。研究所に帰ったら噛まれなくてもゾンビになるか情報を集めてくれ」

 さて、次は若いパソコンプログラマーの米谷青年だ。話をしてみると意外にしっかりしていて、契約書には『休み時間にパソコン使い放題の』の一文を追加した。

 これで終わりにして立ち去りたいが、もう一組みいる。

 金髪で指示を待たない男女だ。もちろん金髪は個人の自由たが指示の方は……

「それでご用件はなんでしょうか?」
「その、俺達にも車と食糧、武器をくれるのか」
 どうやら島田一等兵に提供していた様子を見ていたらしい。

「ええ武器は拳銃ニ丁を差し上げますよ」

 なんか武器を悪いことに使いそうだし、悪いお友達をたくさん連れてきそうな雰囲気がなきにしもあらずだが、それは色眼鏡と割り切り今は自主的に出て行ってくれることを喜ぼう。

「助かるわ。恩にきるから」

 まあ、一応感謝の気持ちは持っているようだ。食糧を十分に渡してやれば問題を起こさないかもしれない。

 金髪男女は気持ちよく車で去り、俺も彼らを気持ちよく送り出した。それだけだ。

 第一兵舎と第四兵舎が同時に
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