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Rainy Heats
Rainy Heats
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[1] 最後
水中で溺れてしまったかのような、水がそこら中を叩きつける様な雨音が室内に響く。
照明を落としているからか、やけに音も余計に響く気がする。
『本日は雨天ですー』
壁一枚を隔てても届くような、凛とした、整った声で少女らしさも忠実に模した電子音が雨音に混じらずに響く。
「次」
放った声に反応し、眼前の黒字に緑だけが表示されたそっけないモニターに表示された内容が変化し、文字の羅列を絶えず電子音が告げる。
『現在午前9時50分、降水確率午前100%、午後80%、現在の気温322℃、現在の湿度約78%。ちょっと涼しいくらい?』
読み上げているのは今日の天気と現在の外気温と湿度だ。いつもどおりの正常値だ。
「次」
天気のページから別の情報が表示されているベージへと移動し、自動的に読み上げが始まる。
『機体内部温度134℃、問題なしっ』
正常である情報が画面に表示される。内部温度も正常なようだ。
「次」
『地表温度289℃、昨日から2%減少。問題なさそう、いけるいける』
これも正常値の範囲。その後もひと通りの情報に目を通し、復唱を行う。結果は問題なし。
最後に画面を変更し、時刻のみが表示されているものにする。
電子音が時刻のカウント読み上げを開始する。
『3、2、1、0、ぽーん。午前10時をお告げしますー』
午前10時。行動を開始する時間だ。
指でモニターを二度タップすると、それに呼応し薄暗かった部屋に照明が灯り、その部屋の全貌が顕になる。
椅子とそれに取り付けられた肘掛け、そして左右と前に嵌め殺されている窓があるだけ。
その中に決して大きくない私の体が収まってしまえば、この空間はいっぱいになってしまう。だが、それだけで充分だった。私が居るのは車両の中なのだから。
『開始時間になったんでー、移動を開始してくださいー』
「了解。A地点からB地点に移動を開始する」
すかさずモニターの画面も変化し、地図を表示した。
車両の低い唸り声を上げ、厚い金属の板を打ち鳴らした様な音と、振動を混ぜた物へとシフト、車両が前進を始めた。
はめ殺した窓から見える景色は、砂利の様に細かい砂礫と少しばかりの山が広がるだけの荒野だった。
雨はさらに雨足を強め、地面に雨粒の模様を刻み、それを更に割くように、わずかに土煙を上げて車両は進んで行く。
程なくB地点と呼ばれる場所にたどり着くが、移動が完了しても景色はほぼ変わらなかった。荒れ果てた荒野。どこまでも続く一面の砂礫。
B地点と呼ばれた場所に違いを見出そうとすれば、山がなく平野だけが広がっていることだろうか。
「B地点に到着。周辺を検索しつつ待機する」
レコーダーに報告を終えて、車内の照明も最低限だけ残し、エンジンをアイドリング状態にする。
そうしてまた車内は薄暗くなり、モニターが放つ薄緑の
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