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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth10-B嵐の前の安穏〜魔神の剣槍
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†††Sideオーディン†††

聖王家の治める国アウストラシアの王女であるオリヴィエの治療をするために週二でシュトゥラ王都ヴィレハイムへと赴く事となってから、今日で早5回目の診察日。今日も上級治癒術式エイルを使って、オリヴィエの両腕の障害を治している。回数を重ねるごとに確実に快復に向かっていて(エイルを使用しているから当たり前だが)、あと1回の治療で完治しそうだ。

「私のお願いを聞いて下さっているおかげで、もう完治まで僅かですよ、オリヴィエ王女殿下」

「はいっ。毎日、オーディン先生の仰ったリハビリのメニューをこなしていますし。それに、オーディン先生が下さったこのアルムバントのおかげで、両腕を動かすのがとても楽になりましたから、苦もなく出来ました♪」

オリヴィエはニコッと可愛らしい笑顔を見せ、「失礼します」と椅子より立ち上がった。何をするつもりなのか、と思っていると、出逢った頃より確実に動きまくっている両腕で、ジャブ→ストレート→アッパーのコンビネーションを披露した。
私と一緒にオリヴィエを見守っていたリサが「オリヴィエ様〜」と感極まって泣き笑いなんだが、私としてはまさかコンビネーションとは思いもしなかった。聖王オリヴィエ。魔導と武技に於いて最強と謳われたのは知ってはいたのだが、もう少し女の子らしい仕草を見せてくれると想像していたため、「プフ」つい吹き出してしまった。

「え? どうかなさいましたか?」

「いえ。なんと言いましょうか・・・」

「仰ってください、気になりますっ」

「・・・その、予想できなかった事を、オリヴィエ王女殿下がなさったので、つい」

そう言うと、オリヴィエは「は、はしたなかったですか?」と頬を少し赤らめて動揺する。そんな彼女を可愛らしく思い、「いえ。よく思えば、貴女らしいと言うべきでしょうね」と笑みを返す。リサも「オリヴィエ様は元気いっぱいに動き回る方が良いですッ!」と私に同意する。
しかしオリヴィエは「リサ。それではまるで私が小動物みたいではないですか」僅かに頬を膨らませ、納得できないと言った風だ。リサの顔から血の気が引くのが目に見えて判る。そして「も、ももももも」動揺しまくりだ。

「「桃?」」

オリヴィエと2人して小首を傾げたところで、「申し訳ありませんッ! かくなる上は!」と土下座した後に“キルシュブリューテ”(神器ではなくデバイス)を起動し、なんと首に宛がった。これには私もオリヴィエも「ちょっ・・・!」慌てる。刃が完全に頸動脈付近に当たってる。ちょい刃を引いただけで終わる、リサの人生が。「この命で償いますッ」などと言うリサ。
捕縛系術式で止めようとした時、シュタッと目にも留まらない速さでリサの背後を取ったオリヴィエ。速いな。魔力無しでの技能だ。身体強化を行えば
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