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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その3)
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後、反乱軍を壊滅に追い込めなかったことで幾人かの士官から馬鹿げた嫌味を言われた。いずれもミュッケンベルガーの傍にいる人間達だ。

彼らがそういう行動を取るのはミュッケンベルガーが俺に対して非好意的だからだと言える。彼と俺の仲が親密ならばそんな事は言わない、ミュッケンベルガーに知られれば当然だが不興を買うことになる。宇宙艦隊司令長官の不興を好んで買うような阿呆は居ないだろう。俺とて好きで買ったわけではない、気が付けば買っていただけだ。

やはり罠だろうか……。第三次ティアマト会戦では後衛に回された、明らかに戦力外として扱われていた。軍主力が混乱するまで戦機を与えられなかった俺に対して今回は左翼を任せる……。どう考えてもおかしい、やはりフレーゲルの忠告は無視できない……。

それにしても何故フレーゲルは俺に好意を示す? 彼は先日までは明らかに俺に敵意を示していた。それが急に好意のような物を示し始めた。……どうにも分からないことばかりだ。……全く馬鹿げている、何故俺は戦略戦術以外の所で混乱しているのだ。一体どうなっているのか……。



帝国暦 486年 9月13日   ティアマト星域  ブリュンヒルト ラインハルト・フォン・ミューゼル



フレーゲル男爵が連絡をしてきた。ぶっきらぼうな口調で“至急、二人だけで話したい”と言ってきた。厳しい表情だ、何かが起きた。通信を保留状態にすると急いで自室に戻り改めて受信した。スクリーンのフレーゲル男爵は明らかに苛立っている。

「遅い! 何をやっていた」
これでも全力で走った。ムカついたが、抑えた。今は話が先だ。この男がわざわざ連絡をしてきた、一体何が起きた?
「申し訳ない、話とは?」

「つい先程、最高作戦会議が開かれた」
「……まさか」
一瞬フレーゲル男爵が何を言っているのか分からなかった。そんな話は聞いていない。招集命令は無かった。愕然とする俺にフレーゲル男爵が冷笑を浮かべた。

「卿は呼ばれなかったのだ、故意にな」
「!」
「ミュッケンベルガー元帥は卿を犠牲にして勝利を得るつもりだ。卿だけを敵に突撃させる……」
「……」

「余程嫌われていると見える。日頃の行いが悪い所為だろう、賤しい平民の味方などするからだ、反省する事だな」
「……まさか、卿が」

俺の言葉にフレーゲルが顔を顰めた。
『勘違いするな、私では無い。だが、誰かが圧力をかけた可能性は有るだろうな。……あるいはその人間はオーディンに居るかもしれん、そこまでは否定しない』
「……」

そのための左翼部隊指揮官か……。反乱軍と俺が潰し合った後、無傷の部隊で反乱軍を攻撃する。勝利はミュッケンベルガーの物となるだろう……。俺の艦隊は勝利を得るための必要な犠牲と言うわけだ。怒りで体が震えた、そ
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