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閃の軌跡 ー辺境の復讐者ー
第2話〜特科クラスZ組・始動〜
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トにその理由を話してもらった。話によると、穴に落ちると際にリィンはある金髪の少女をとっさに助けようとしたが、その少女とあらぬ体勢になってしまい(具体的にはリィンが彼女の下敷きになって顔に胸を押し付けられた状態になったらしい)、その結果に少女からビンタをもらったそうだ。言われてみれば、ビンタをした主は心なしか顔が不機嫌そうに見える。

「(俺も一歩間違えばそうなっていたのか?)・・・なるほど、分かった」

ケインは左頬を痛そうに押さえるリィンに同情の意を込めて横目で視線を向ける。微妙な空気が漂う中、そんな空気を壊すかのようにピピッと着信音が鳴った。制服や入学案内書とセットになって送られてきた携帯用の小型導力器だ。エリオットが声を上げて驚いていたが、音につられた11人は一斉にその導力器を開く。そこからサラ教官の声がする。おそらく通信機能を内蔵しているのだろう。教官はこの装置(オーブメント)について説明した。エプスタイン財団とラインフォルト社が共同開発した第五世代戦術オーブメント、<<ARCUS>>。それがこの導力器の正体らしい。戦術オーブメントとは、魔法(アーツ)を使うための導力器だ。このアークスは、結晶回路(クォーツ)を嵌めるとアーツが使えるようになるそうだ。とにかく、地下にある台座に11人から預かった得物と専用のマスタークォーツを用意したので各自確認を済ませた上でアークスにクォーツをセットして受け取れとのこと。貴族なんて嫌じゃいとごねていたマキアスが、一体何のつもりだと文句を言いながらも自身の台座を探しに行った。それに続くようにして各々が台座の前へ。ケインは自身の得物を回収し、マスタークォーツを手に取る。

「くッ・・・ぐぁ、があぁぁぁぁッ・・・!!」

光沢のある黒いそれをアークスに嵌めたケインは、突如として苦しみだした。肩甲骨のあたりから漆黒の羽が強制的に具現したのである。体内の何かが体の外に無理やり押し出される感覚に悶えていたが、ほんのわずかの間ですぐに治まる。

(・・・何だったんだよ、今のは)

ケインは初めて体験した感覚に内心動揺を隠せずにいる。アークスにクォーツを嵌めるとケインを除く他の10人はアークスと身体の一部が青白く光っていたが、彼だけは黒光りしていた。とにかく、これで全員がめでたくアーツを使用可能になったらしい。サラ教官は通信越しにオリエンテーションの目的を告げる。地下一階の先は少々入り組んだ地帯だが、そこの終点まで辿り着けということだ。魔獣も徘徊しているそうなので、ケインの考えたとおり軽い力試しのつもりなのだろう。着いた褒美としてほっぺにチューしてやってもいいなどとあほな事をぬかしていたが。そんなことはさておき、ノー・貴族・イン・クラスなマキアスは、単独で先行せんとする四大名門のご子息、ユーシスに食ってかかるも
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